岐阜プラスチック工業、米国インディアナ州に初の海外工場を開設

(米国、日本)

シカゴ発

2025年09月26日

岐阜プラスチック工業(本社:岐阜県岐阜市)は9月22日、米国子会社RISU AMERICA, INC.を通じて、米インディアナ州シェルビービルに同社初となる海外工場を開設し、竣工(しゅんこう)式を実施した。新工場ではプラスチック製パレットを製造し、北米における物流資材需要の拡大に対応する。背景には、自動車や食品など製造業の現地生産拡大やドライバー不足に伴う輸送効率化においてニーズがあり、同社は6年間で約6,000万ドルを投資し、将来的な拡張も視野に入れる。

販路は日系企業にとどまらず、米国企業にも広げる方針だ。パレットは軽量で耐久性に優れ、一度に多くの荷物を積載できることから、輸送効率を大幅に高めることが可能で、従来2時間を要していたトラックへの積み込みを30分に短縮できるとされる。当初21人で操業を開始し、現地雇用を増やすことで約40人体制へと拡大する予定。

今回の進出にあたり、同社はジェトロの「米国における製造拠点等の立地選定支援」事業を活用し、立地条件の整理や候補州の情報収集、現地視察のアレンジなどを通じて、検討を進めてきた。複数の州を比較した結果、交通利便性に優れ、製造業人材が豊富で、地域が長年にわたり対日協力に積極的である点が評価され、最終的にインディアナ州シェルビービルを最適地として選定するに至った。

竣工式では、大松栄太社長が「米国における物流効率化の需要は今後一層高まる。日本で培った技術と経験を基盤に、北米で持続可能な物流資材供給を実現していきたい」と抱負を語った。また、インディアナ州第6選挙区のジェファーソン・シュリーブ連邦下院議員(共和党)は「日米両国の投資とパートナーシップは40年以上の歴史を持つ。今回の投資はその継続と発展を示すものであり、地域経済に大きな恩恵をもたらす」と強調した。さらに、シェルビービル市のスコット・ファーガソン市長(共和党)は「長年にわたる日本企業との交流は市民生活に大きな影響を与えてきた。RISUの進出は地域に新たな雇用と文化交流の機会をもたらす」と歓迎の意を示した。

式典には、武藤容治経済産業相からも祝辞が届けられ、「本工場の竣工は、岐阜プラスチック工業の熱意と技術に加えて、インディアナ州政府および地域関係者の皆さんのご協力、ジェトロによるきめ細やかなサポートのたまもの」と述べるとともに、本件は「『関税より投資』という日本の考え方を体現するもの」と強調した。同社の進出は、日米間の産業・地域連携を一層深化させるとともに、北米の物流インフラを支える重要な拠点となることが期待される。

写真 竣工式でのテープカットの様子(ジェトロ撮影)

竣工式でのテープカットの様子(ジェトロ撮影)

(井上元太)

(米国、日本)

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