国民の半数がインフレを懸念、米世論調査

(米国)

調査部米州課

2025年09月11日

米国では、8月の雇用統計で労働市場の減速がみられたことを受け(2025年9月8日記事参照)、経済の先行きへの不安が高まることが予想される。最近の世論調査では、半数がインフレを懸念するという結果だった。

経済誌「エコノミスト」と調査会社ユーガブは9月10日、米国の経済状況などに関する世論調査結果(注1)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。それによれば、インフレを予測する割合は50%と高く、7月に4割台に下がっていたが、再び上昇した。

現在の米国の経済状況については、「ひどい」が39%と最も高く、7月初旬(28%)から上昇した。「まずまず」(32%)、「良い」(22%)、「非常に良い」(5%)が続いた。

過去12カ月で個人の収入が、「増加した」割合は22%で「減少した」割合が23%とほぼ同じだった。「変化なし」は49%だった。性別では、増加したという回答は男性(26%)が女性(19%)を上回った。人種別では、増加したというヒスパニック(25%)が最も高く、黒人では減少した割合は33%と最も高かった。

ドナルド・トランプ大統領の支持率は41%と前週から横ばいだった。

NBCニュースが8~9月に実施した世論調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注2)によれば、トランプ政権のこれまでの状況に対する感想は、「激怒」(21%)と「不満」(20%)が上位を占めた。「中立」(18%)、「満足」(13%)、「怒り」(11%)が続いた。

スタグフレーションの懸念も

ノースライト・アセット・マネジメントの最高投資責任者クリス・ザッカレッリ氏は、米国で今週発表されるインフレ指標によっては、スタグフレーションの懸念が上昇する可能性も指摘する。「(雇用市場の悪化は)連邦準備制度理事会(FRB)による今秋の利下げを容易にするだろうが、最近の株価の上昇相場に冷水を浴びせる可能性もある」とも言及した(BBC9月9日)。

トランプ政権のキャロライン・レビット報道官は、雇用市場の悪化について、バイデン政権の経済が壊滅的で、労働統計局(BLS)が機能不全に陥っているという持論を展開している(CNBC9月9日)。

(注1)実施時期は2025年9月5~8日。対象者は全米の成人1,644人。

(注2)実施時期は2025年8月13日~9月1日。対象者は全米の成人3万196人。

(松岡智恵子)

(米国)

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