モルドバ・ビジネス・ウィーク開催、税制簡素化やデジタル化を進め投資環境をアピール
(モルドバ)
ブカレスト発
2025年09月19日
モルドバの首都キシナウで9月15~19日、第10回モルドバ・ビジネス・ウィーク(MBW2025)が開催された。15日の開幕イベントには、ドリン・レチャン首相、ドイナ・ニストル副首相兼経済発展・デジタル化相、モルドバ投資庁のナタリア・ベジャン長官、イウォナ・ピウルコ駐モルドバEU大使の4人が登壇し、モルドバへの投資を呼びかけた。
最初に登壇したモルドバ投資庁のベジャン長官は、モルドバはEU加盟を目指す「ビジネスに開放的で信頼できる、近代的で未来志向の国」と位置付け、巨大な輸出ネットワークやスタートアップの実績、政府の民営化プロジェクトなどを例に、ビジネスや投資の機会を有する国であることを強調した。
レチャン首相は、同国への外国直接投資(FDI)の8割以上がEU諸国によるもので、その利益の半分が再投資されている点を踏まえ、モルドバの投資環境の信頼性と持続性を強調した。
開幕イベントで講演するレチャン首相の講演(ジェトロ撮影)
ピウルコEU大使は、EUのモルドバ成長計画による19億ユーロの資金拠出(2025年7月29日記事参照)やロシアからのエネルギーを用いた圧力に対する支援などに言及し、「モルドバへの投資はEU加盟国の未来への投資である」と強調した。
モルドバのニストル副首相兼経済発展・デジタル化相は、投資環境や注力する産業分野の取り組みについて概説した。許認可手続きや税制の簡素化、個人事業主に15%単一税を適用する「フリーランサー法」(2026年から施行予定)、ビジネスサービスのデジタル化などの具体的な取り組みを紹介した。
GDPの7%を占める情報通信技術(ICT)分野については、欧州初のバーチャルパーク「モルドバ・イノベーション・テクノロジー・パーク(MITP)」に43カ国から2,500社以上が入居していると述べた。入居するIT関連企業には、2035年まで7%の単一税が適用される。
物流についてニストル副首相は、ルーマニアとの国境に隣接するモルドバ西部のウンゲニ、キシナウ、ウクライナのオデーサを結ぶ高速道路建設や空港やフリーポートの拡張などの開発計画を紹介した。モルドバはEUの物流とウクライナ復興における重要な結節点としての役割を担うと強調した。
エネルギーについては、ロシア産エネルギー依存からの脱却のため、EUとの市場統合に向けたルーマニアとの送電網強化、再生可能エネルギー設備の拡充などのプロジェクトを推進していることを説明した。
MBW2025は、キシナウ市内での会合イベントに加え、国内各地の産業視察ツアーを実施。会合では、モルドバ投資マップの紹介や、国立証券取引所の設立の発表が行われた。
(太田響子)
(モルドバ)
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