中銀、政策金利を17%に引き下げ

(ロシア)

調査部欧州課

2025年09月25日

ロシア中央銀行は9月12日に開催された金融政策決定会合で、主要政策金利(キーレート)を18.0%から17.0%とすることを決定し、15日から適用した(添付資料図参照)。これで3会合連続の利下げとなる(2025年7月25日記事参照)。2025年初からインフレが減速していることに加え、外需の低迷や経済活動の鈍化が背景にある。中銀は2026年末までにインフレ率を目標の4%に抑制するため、引き締めを継続する方針を示している。

中銀のエリビラ・ナビウリナ総裁は12日の記者会見で、今回の利下げに関連し、インフレは減速しているが、インフレ期待は依然として高く、企業向け融資の伸びも加速している点を指摘した。財政政策の不確実性もある中、慎重な判断が必要だったと説明した。

中銀は声明で、インフレ圧力は一部で緩和されているものの、物価上昇率は年率換算で4~6%を推移しており、目標達成には至っていないと指摘。2025年7~8月の季節調整済みの物価上昇率は年率換算で6.3%と、第2四半期の4.4%から再び上昇した。コアインフレ率は4.4%から4.1%に低下したが、インフレ期待は高止まりしている。

労働市場の逼迫は依然として続いているが、企業の人手不足感は徐々に緩和されつつある。賃金の上昇ペースは2024年よりも鈍化しているものの、引き続き労働生産性の伸びを上回っている。失業率は過去最低水準で推移している。

金融市場は緩和したものの、引き締まった状態が続いている。これまでの政策金利の引き下げと市場の期待修正を受けて、名目金利は低下傾向にある。融資の金利は緩やかに低下しており、法人向け融資の急増や、住宅・自動車ローンなどの個人向け融資も回復傾向にある。

中銀はインフレ率の見通しについて、2025年に6.0~7.0%へと低下し、2026年には目標の4.0%に達すると予測している。ナビウリナ総裁は、財政赤字がベースラインシナリオで想定された水準を上回った場合、政策金利の引き下げ余地は限定的になると指摘した。そのうえで、今後の金融政策の判断にあたっては、経済状況、融資の動向、物価上昇圧力、インフレ期待を総合的に考慮していくとの考えを示した。

次回の金融政策決定会合は2025年10月24日に予定されている。

(小野塚信)

(ロシア)

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