中銀、政策金利を18.0%に引き下げ、インフレ圧力が低下
(ロシア)
調査部欧州課
2025年07月29日
ロシア中央銀行は7月25日に行われた金融政策決定会合で、主要政策金利(キーレート)を20.0%から18.0%とすることを決定し、28日から適用した(添付資料図参照)。2会合連続での引き下げとなった(2025年6月13日記事参照)。インフレの上昇圧力が中銀の予想を上回るペースで低下していることに加え、内需の伸びが鈍化していることが背景にある。中銀は2026年末までにインフレ率の目標4%に抑制できるまで、金融引き締め政策を継続する方針を示している。
中銀のエリビラ・ナビウリナ総裁は25日の記者会見で、今回の利下げの理由について、インフレが減速しており、消費者需要が鈍化、貸し出しの拡大も緩やかなことから、利下げが可能になったと説明した。
中銀は25日の声明で、インフレ圧力が予想を上回るペースで低下しており、ロシア経済は引き続き均衡の取れた成長軌道に戻りつつあるとしている。2025年第2四半期(4~6月)の季節調整済みの物価上昇率は年率換算で前期比4.8%と、第1四半期(1~3月)の8.2%から大きく低下した。コアインフレ率も4.5%で、第1四半期の8.8%から減速した。一方で、インフレ期待が高い水準にあり、インフレの継続的な減速を妨げる可能性があると指摘している。
労働市場では、企業の人手不足が緩和しつつある。一部の産業間で人材の再配置が進んでいることが背景にある。賃金の上昇ペースは2024年と比べて鈍化しているものの、依然として労働生産性の伸びを上回っている。失業率は過去最低水準で推移している。
金融市場は、6月以降の利下げと市場の金利見通しの修正を受けて、名目金利は低下傾向にある。一方で、実質金利は依然として高水準で推移しており、金融市場は引き締めの状態が継続している。
中銀は2025年の平均の政策金利を18.8~19.6%、2026年は12.0~13.0%になると予測している。インフレ率は2025年に6.0~7.0%へと低下し、2026年には目標の4.0%に達すると見込んでいる。ナビウリナ総裁は、インフレ率を持続的に低い水準に戻し、2026年に4%へ安定させるため、引き締め方針を継続する考えを示した。
次の会合は2025年9月12日に予定されている。
(小野塚信)
(ロシア)
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