万博ナショナルデーに合わせ英国TVCCミッション団が来日、大阪でビジネスフォーラムを開催
(日本、英国)
大阪本部海外ビジネス推進課
2025年09月12日
英国テムズバレー商工会議所連合(TVCC)と大阪商工会議所(OCCI)、中小企業基盤整備機構は9月4日、大阪・関西万博における英国ナショナルデーに合わせ、TVCCミッション団の来日を契機に大阪でビジネスフォーラムを開催した。
テムズバレーは「欧州におけるシリコンバレー」と呼ばれる技術系イノベーションが盛んな地域で(2025年8月8日記事参照)、OCCIと同地域の商工会議所であるTVCCは10年以上にわたる協力関係を有している。
廣瀬恭子OCCI副会頭はあいさつで、OCCIが2014年にビジネスミッションを派遣した際にTVCCと相互協力に関する覚書を締結した。その後、各種の協力を積み重ね、今回、両機関はより一層の関係深化に向けた連携協定を締結したと述べた。
TVCCのポール・ブリトン会頭は、英国と大阪は、前者は創造性、後者は製造業や研究開発、貿易面の強みがあり、両国・都市は補完できる関係にあり、地域間交流はビジネス関係強化につながっていると評した。在大阪・英国総領事館のマシュー・エリス副総領事は昨今の日英関係は再エネや安全保障のみならず、クリエーティブ産業分野にも及ぶなど、ここ数十年の中で最高点に達していると指摘。大阪におけるイノベーション分野での事例としては、未来医療国際拠点である中之島クロスと、細胞・遺伝子治療分野で世界有数の産業化促進機構である英国のセルアンドジーンセラピー・カタパルトの連携を挙げた。
スピーチするブリトン会頭(ジェトロ撮影)
パネルディスカッションでは、日本企業の英国進出によるビジネス機会や、日英技術連携によるイノベーション創出をテーマに議論が行われた。特に前半部分では、対英ビジネスを行う大阪企業が登壇し、自社の取組内容とポイントについて語った。理美容機器、化粧品、医療機器などの製造販売を行うタカラベルモントの加茂剛グローバル戦略室長は、英国には1959年に進出し、同社において非常に大事な国の1つであると指摘。英国においては顧客・ユーザーの声を取り入れた製品開発・投入を心掛けており、現地販売会社では顧客の好み・リクエストに合わせて、製品を組み立てるビジネスを展開し、これが評価につながっているとした。
越境EC事業に携わるZenGroupの並木祐臣氏は、同社が商品を発送している国は175カ国に上るとし、その中で、英国向けが6番目に多いと述べた。主な輸出製品は食品や日用品、フィギュアなどだが、昨今、有望とみているのは工芸品とした。英国は成熟市場のため、価格競争にさらされないようにするには、付加価値を向上させる取り組みが重要であると指摘し、特に工芸品は作り手の思いをストーリー展開させることが可能であることを理由として挙げた。また同社では、現地のユーザーの声を拾うために英国人社員を雇用しているとした。
パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)
(齋藤寛)
(日本、英国)
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