米フロリダ州マイアミで食品・飲料の国際展示会開催、国税庁がジャパンパビリオン初出展
(米国、スペイン、日本)
アトランタ発
2025年09月19日
米国フロリダ州マイアミビーチで9月10~12日、食品と飲料を対象とした国際展示会「アメリカス・フード&ビバレッジショー&カンファレンス」が開催され、800社以上が出展したほか、日本を含む18カ国・地域(注)がナショナルパビリオンを設置した。日本の国税庁が初めてパビリオンを設置し、日本産酒類製造業者など15社が出展した。
国際展示会の会場(ジェトロ撮影)
開会式(ジェトロ撮影)
今回で29回目の開催となり、例年、約30%の来場者が米国外から参加する。マイアミは中南米のゲートウエーとして有名で、中南米バイヤーの来場が多い。中南米からの移住者を中心にスペイン語話者が多いこともあり、今回の主賓国のスペインをはじめ、スペイン語圏の国々の企業が多く出展した。在マイアミ・スペイン総領事館のベレン・アルファロ・エルナンデス総領事は開会式で、今回は69社のスペイン企業が出展していると述べた。
国税庁のパビリオンでは、日本酒や焼酎、泡盛、ウイスキーなどが出品された。日本酒を出品した出展者は「アジア系人口が少ないマイアミには、本格的な日本食店が少なく、フュージョン系が多いと再認識した。そうした料理に合う酒が求められていると感じる」と述べた。国税庁担当者は「米国のみならず、フロンティア市場の中南米諸国での可能性を探ることを目的に、ジャパンパビリオンを設置した。中南米系の方々に多数来場してもらい、あらためてマイアミの特徴を実感した」と述べた。また、自社で出展した商社は「中南米系の方々はカクテルなど甘い酒類を好む。今回はユズを使った日本酒が特に人気を集めた」と述べた。
国税庁のジャパンパビリオン(ジェトロ撮影)
ジェトロは海外バイヤー専用のオンラインカタログサイト「Japan Street」の広報ブースを設置し、とんかつソースやわさびなど21社34商品のサンプルを展示した。米国南東部のヒスパニック系小売店などに販路を持つバイヤーは「これまでスペインから食品を輸入してきたが、新たなビジネスを期待して展示会に参加した。日本からの輸入は未経験だが、米国内での日本産品の評判も高まっていると聞くので、輸入可能性を検討したい」と述べた。また、プエルトリコで小売店を経営するバイヤーは「プエルトリコでは、輸入元の国の多様性が乏しいため、日本など新たな産地からの商品に対する市場ニーズが増加傾向だ」と述べた。
Japan Streetの広報ブース(ジェトロ撮影)
展示会場内ではセミナーも開催され、出展者や来場者が米国の最新の食品市場動向や、規制対応などの情報収集に努めていた。弁護士による関税に関するセミナーでは、米国の輸入業者向けに、直近の関税措置が食品・飲料業界に与える影響やそれらを緩和させる戦略などを説明した。特に原産地などの詳細情報を収集するなど、サプライヤーとの連絡を密に行う重要性を強調した。また、アルミ缶や缶ビールが1962年通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウム製品への追加関税の適用対象となったことにも触れ(2025年4月7日記事参照)、食品や飲料自体に加え、容器などの原産地も注意深く確認し、関税などに対応する必要があると指摘した。
セミナーの様子(ジェトロ撮影)
(注)米国、スペイン、アフリカ、アルゼンチン、ブラジル、コロンビア、ドミニカ共和国、エクアドル、インド、イタリア、日本、メキシコ、オランダ、カナダ(ケベック州)、韓国、トリニダード・トバゴ、トルコ、ウルグアイの18カ国・地域。
(藤本安紗美、檀野浩規)
(米国、スペイン、日本)
ビジネス短信 aa196260c49b5406