フランス、個人情報保護法違反でグーグルに3億2,500万ユーロ、シーインに1億5,000万ユーロの罰金
(フランス、中国、アイルランド、米国)
パリ発
2025年09月09日
フランスの個人情報保護監督機関の情報処理および自由に関する全国委員会(CNIL)は9月3日、「クッキー」の規制違反を理由に、グーグルに3億2,500万ユーロ、シーイン(SHEIN)に1億5,000万ユーロの罰金を科すと発表した。
グーグルへの制裁は、2022年8月にプライバシー保護団体のNOYB(None of Your Business)が行った申し立てを受け、CNILが2022年から2023年にかけて、GmailやGoogleアカウントの作成プロセスについて、監査を実施したことに基づく。グーグルは2020年と2021年にクッキーの規制違反で2度にわたって制裁を受けているにもかかわらず、過失を犯したと判断した(2020年12月18日記事参照)。
CNILは、グーグルがGmailユーザーに対し、ユーザーの同意なしに電子メール形式の広告メッセージを表示していたことが郵便・電子通信法典L34-5条に違反、また、グーグルアカウント作成時に自由で明確な同意なしにクッキーを設置していたことが個人情報保護に関する国内法「情報処理、情報ファイルおよび自由に関する法律」第82条に違反するとした。
EUレベルでは、アイルランドが2024年9月12日にグーグルの人工知能(AI)モデルについて、「EU一般データ保護規則(GDPR)」に違反していないか調査に着手すると発表している。
中国のプラットフォームのシーインも、同様に「情報処理、情報ファイルおよび自由に関する法律」第82条のクッキー設定の義務事項に違反したとして、処罰の対象とした。shein.comのウェブサイト上にアクセスすると同時に、ユーザーの同意なしにクッキーが設定されることや、ユーザーへの情報が不十分なこと、クッキーの拒否・同意撤回の仕組みが機能していないことなどを問題とした。
CNILは、2019年にクッキー使用に関するガイドラインと推奨事項を公開し、アクセス数の多いウェブサイトやサービスを提供する事業者を主な対象として、クッキーの適合性強化を推進する行動計画を開始し、その一環として2023年にシーインに対する監査を実施した。今回の処罰について、CNILは2020年以降、同様の違反行為を行った機関に対する制裁措置を公開してきたと強調した。
9月3日付「レゼコー」紙ウェブ版によると、シーインは「違反の性質や、現在の法令順守の状況、シーインが実施した是正措置を踏まえると、今回の罰金は完全に不釣り合いなものと考える。公平かつバランスの取れた規制の適用というより、政治的な動機による厳しい制裁のように思われる」と異議を唱え、フランスの最上級行政裁判所の機能を有する国務院とEU司法裁判所(CJEU)に提訴する意向を示した。
(奥山直子)
(フランス、中国、アイルランド、米国)
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