中国税関総署、海南自由貿易港での貨物輸出入に係る税務政策発表

(中国)

広州発

2025年09月08日

中国税関総署は8月25日、「海南自由貿易港の貨物の一線(海南自由貿易港と中国外の国・地域との間の境界線)、二線(海南自由貿易港と中国本土との間の境界線)での輸出入と同貿易港内での流通に係る税務政策外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した(注1)。

同政策の主な内容は次のとおり。

(1)「一線」での貨物の輸出入について、「海南自由貿易港輸入関税課税対象商品リスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に掲載された品目以外の貨物が「一線」を経由して輸入される場合、「ゼロ関税」を適用する。「ゼロ関税」貨物とその加工製品が「一線」を経由して輸出される場合、輸出関税の課税対象商品に対し、輸出関税を徴収する。

(2)「ゼロ関税」貨物とその加工品が「二線」を経由して輸入される場合、輸入関税と輸入増値税・消費税(以下、関係諸税)を申告・追納する。

(3)「ゼロ関税」貨物とその加工品を海南自由貿易港内の「ゼロ関税」適用対象の組織(注2)間で流通させる場合、関係諸税を免除する。「ゼロ関税」適用対象の組織が「ゼロ関税」貨物とその加工製品を海南自由貿易港内の「ゼロ関税」適用対象外の組織または個人に流通させる場合、関係諸税を申告・追納する。

「一線」を経て輸入された「ゼロ関税」貨物が4種の関税措置対象貨物(注3)に属する場合、当該貨物とその加工製品が海南自由貿易港内で流通する際、関係諸税を申告・追納するとともに、税関総署2025年第83号公告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに基づいて関連の管理措置を実行する。

なお、「ゼロ関税」貨物は4種の関税措置対象貨物に属さないが、その加工品が4種の関税措置対象貨物に属する場合、その加工品が中国本土に輸入されたり、海南自由貿易港内の「ゼロ関税」適用対象外の事業体または個人などに流通したりする際は、関係諸税を申告・追納すると同時に4種の関税措置対象貨物の関連の管理措置を実行する。

(注1)中国共産党中央委員会は海南島全島における「封関運営」を2025年12月18日に開始すると決定している。封関運営では、海南島全島を特殊な税関監督管理エリアとし、「一線開放、二線管理、島内自由」を基本とした制度を適用する。「一線開放」の「一線」とは、海南自由貿易港と中国の税関管轄外の国・地域との間の境界線を指し、「一線」を開放することで、貨物の輸入に関する一連の開放・円滑化措置を実行する。「二線管理」の「二線」とは、海南自由貿易港と中国本土との間の境界線を指し、「一線」での開放措置を享受した貨物の中国本土への輸入に対して、よりスマート化された効率的な管理を行う(2025年8月4日記事参照)。

(注2)「ゼロ関税」適用対象は、現行の海南自由貿易港で登録された法人資格を有する企業・事業体、海南島内の各種事業体および非企業組織。

(注3)4種の関税措置対象貨物とは、税関総署2025年第83号公告に規定されている次の品目。

  1. 「WTO加盟議定書」と関連規定に基づき、中国が関税割当管理を実施する品目(小麦、トウモロコシ、コメ、化学肥料など8品目)
  2. 中国がアンチダンピング(AD)措置、補助金相殺関税(CVD)措置、緊急輸入制限(セーフガード)措置を講じた品目
  3. 中国が関税譲許の適用停止や追加関税措置を実施した品目
  4. 報復関税を徴収するため追加関税措置を実施した品目(例:米国原産の原材料など)

(梁梓園)

(中国)

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