海南省自由貿易港、全島「封関運営」の開始日が12月18日に決定
(中国)
広州発
2025年08月04日
中国国務院新聞弁公室は7月23日、海南省自由貿易港の建設進捗について記者会見を開き、海南島全島における「封関運営」(注1)を2025年12月18日に開始する中国共産党中央委員会の決定を発表した。
封関運営では、海南島全島を特殊な税関監督管理エリアとし、「一線開放、二線管理、島内自由」を基本とした制度を適用する。「一線開放」の「一線」とは、海南自由貿易港と中国の税関管轄外の国家・地区との間の境界線を指し、「一線」を開放することで、貨物の輸入に関する一連の開放・利便化措置を実行する。「二線管理」の「二線」とは、海南自由貿易港と中国本土との間の境界線を指し、「一線」での開放措置を享受した貨物の中国本土への輸入に対して、よりスマートかつ効率的な管理を行う。また、「島内自由」とは、島内のあらゆる要素が相対的に自由に流通できることを指している。
封関運営の開始により実施される開放措置の具体的内容は次のとおり。
(1)「一線」では、財政部、税関総署および税務総局が7月18日に発表した「海南自由貿易港輸入関税課税対象商品リスト」に掲載された品目以外について、「関税ゼロ」を適用する。これにより、先行措置として一部の輸入品に対して実施していた従来のポジティブリストによる管理から、ネガティブリストによる管理
に移行することとなり、「関税ゼロ」となる対象品目数(注2)は、現行の1,900品目から6,600品目まで拡大し、輸入品全体の品目数に占める割合は21%から74%まで引き上げられる。
(2)(1)の「関税ゼロ」政策を享受できる対象について、現行の海南自由貿易港で登録された法人資格を有する企業・事業体に加え、島内の各種事業体および非企業組織にも適用される。
(3)「関税ゼロ」政策の適用条件をさらに緩和する。「関税ゼロ」の輸入品および同輸入品を使った加工品は、現行制度での自社使用だけではなく、(2)の適用対象間で自由に流通させることが可能になる。
(4)中国本土への輸入を禁止または制限されている一部の輸入品について、「一線」での輸入管理を緩和し、商務部が7月15日に発表した「海南自由貿易港の禁止・制限輸出入貨物・物品リスト」に基づく管理体制をとる。
(5)島内の既存の8つの貿易港(注3)を「一線港」とし、「径予放行(直接通過)(注4)」を認める。また、海口新海港、海口南港など10カ所の「二線港」を設置し、中国本土に輸送する貨物に対し柔軟な管理を行う。
海南自由貿易港の建設が開始されてからの5年間で、対内投資額は総計1,025億元(約2兆500億円、1元=約20円)となり、年間平均成長率が14.6%増だった。176カ国・地区からの投資があり、新設外資系企業数は8,098社で、年間平均成長率が43.7%増加した。
(注1)中国当局が指定した特定区域において、入境貨物を通関完了していない「保税貨物」として扱い、当該指定特定区域と中国本土との貨物の移出入を「輸出入」とみなし税関が管理すること。
(注2)「中華人民共和国輸出入税則(2025)」に基づくHSコード8桁ベース。
(注3)海港の洋浦港(洋浦港区・神頭港区)、海口港(秀英港区・馬村港区)、清瀾港、八所港、三亜港(三亜港区)および空港の海口美蘭空港、三亜鳳凰空港、瓊海博鰲空港の8つとなる。
(注4)通関に際する証明書の提出や検査が不要な貨物に対し、「一線」を通過することが認められ、企業が貨物を直接受領・出荷することが可能となる。税関検査の効率性と利便性の向上に向けて、2020年に上海市の洋山特殊総合保税区で初めて導入された政策。
(陳昕)
(中国)
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