マグナ・シュタイヤー、小鵬汽車のEVを受託生産
(オーストリア、中国、ドイツ)
ウィーン発
2025年09月24日
オーストリア唯一の完成車メーカーのマグナ・シュタイヤーは9月15日、中国の電気自動車(EV)メーカー小鵬汽車(シャオペン)の2つのモデルの受託生産を開始したと発表した。現地報道によると、車種はスポーツ用多目的車(SUV)のG6とG9という。親会社であるカナダのマグナ・インターナショナルは中国の自動車メーカーと20年近くにわたって協力関係を築いてきたが、同社が欧州で中国の完成車を生産するのは今回が初めてとなる。
欧州市場への進出を加速したい小鵬汽車はオーストリアでの生産により、EUが2024年に導入した中国製EVへの相殺関税(2024年12月19日付地域・分析レポート参照)を回避することが可能となる。小鵬汽車のEVは中国で部品グループ単位にまで組み立てた状態で輸出され、オーストリアで完成車に組み立てるセミノックダウン(SKD)方式だと報じられている(「オートモーティブ・マニュファクチャリング・ソリューションズ」9月15日)。これにより、完成車として輸出する場合に課される相殺関税を回避する。
マグナ・シュタイヤーは1990年代から、オーストリア南部グラーツ市で11社の自動車メーカーのために30モデル強、累計400万台以上の乗用車を生産してきた。しかし、好況期には年間15万台を誇った生産量は近年大幅に減少しており、2023年に10万5,000台、2024年には7万台だった。これに伴って2024年以降、合計700人の人員削減を行ったと報じられている(オーストリア放送協会(ORF)2024年4月24日、「クローネン・ツァイトゥング」紙2025年5月16日)。
グラーツの生産拠点を維持するため、経営陣は新規案件の獲得に奔走していた。現地報道によると、複数の中国メーカーとの交渉が行われていたが、これまで具体的な結果は得られていなかった。
小鵬汽車は9月中旬にドイツ・ミュンヘンで開催された「IAAモビリティー2025」(2025年9月17日記事参照)で、同市に研究開発センターを設立する計画を発表した。日刊紙「ディープレッセ」(9月16日)によると、同センターで開発予定のリムジン型モデルも、マグナ・シュタイヤーが生産する予定だ。
(エッカート・デアシュミット)
(オーストリア、中国、ドイツ)
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