農林水産物・食品の輸出貨物拡大へ商談会開催やサービスを拡充、大阪港湾局がセミナーでPR
(日本、世界)
大阪本部海外ビジネス推進課
2025年09月22日
大阪港湾局や大阪港埠頭、堺泉北埠頭などは9月8日、「大阪みなとセミナー(京都会場)」を開催した。「大阪みなと」の概要やサービス説明のほか、農林水産物・食品の輸出貨物拡大に向けた取り組みを紹介した。
大阪港湾局長の中小路和司氏は冒頭のあいさつで、2024年は中国経済の減速や物価高騰による貨物の伸び悩みや、脱炭素社会の実現に向けたモーダルシフトへの取り組みなど、さまざまな課題への対応が求められている中、大阪港の輸出入コンテナ取扱個数は2年ぶりに200万TEU(1TEU=20フィートコンテナ換算)を超えることができたと語った。
開会あいさつをする中小路大阪港湾局長(ジェトロ撮影)
大阪港湾局の池田佳介計画整備部長は「大阪みなと」の概要と農林水産・食品の輸出支援に関する取り組みを紹介した。「大阪みなと」とは、大阪港と堺泉北港、阪南港など9つの港湾の総称だ。大阪港にはコンテナやフェリーのターミナルなどさまざまな施設があり、西日本有数の物流拠点となっている。堺泉北港は原油や液化天然ガス(LNG)などのエネルギー貨物の取り扱いが多いほか、日本有数の中古車輸出拠点だ。阪南港は製造業、物流・保管施設などが立地している。国際コンテナ航路は北米やオーストラリア、アジア向けに月間302便の定期便が運航されており、2024年の輸出入コンテナ取扱個数は約205万TEUに上っている。
大阪港が昨今力を入れているのは、農林水産物・食品の輸出拡大をターゲットとした「創貨」の取り組みだ。食の輸出に関するセミナーや、商社を介した海外バイヤーと国内サプライヤーをマッチングさせる商談会を開催している。2024年度に開催した商談会では、国内サプライヤー107社、地域商社15社、海外バイヤー12社が参加し、合計169件の商談が行われ、商談成立は14件だったという。このほか、海上輸送向けに冷凍貨物の混載サービスを充実させるための各種取り組みみや、リーファーコンテナを活用した食品輸出に補助金拠出を行っている。大阪港以外では、堺泉北港が国土交通省と農林水産省が連携して進めている「産直港湾」に全国2例目として認定され、堺青果センターでのエアシェルター整備などにより、農林水産物・食品の産地から海外輸出に至るまでのコールドチェーンの確保が実現されていると述べた。
セミナーの後半では、大阪港ユーザの京都企業が登壇した。計測機器メーカーのイシダの藤枝仁海外営業管理課長は同社の海外ビジネス概要や大阪港利用状況などについて説明した。同社は米国、ブラジル、中国、韓国、インドに生産拠点を構え、世界140カ国に年間1,800TEUを発送しており、大阪港は輸出入ともに活用しているという。大阪港を利用するメリットはアジア、特に東アジア・東南アジアの各国・地域の主要港向け航路が充実していることと語った。
講演するイシダの藤枝海外営業管理課長(ジェトロ撮影)
(齋藤寛)
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