欧州市場での逆風の中、シーインがフランスのアパレルチェーンと合弁会社設立、グローバル展開を支援

(フランス、EU、中国)

パリ発

2025年09月22日

中国のシーインは916日、フランスのアパレルチェーンのピンキー(Pimkie)との合弁会社設立を発表した。シーインのスポークスマンのカンタン・リュファ氏はニュース専門テレビ局BFM TVの翌17日のインタビューで、「ピンキーの商品を160カ国のシーインのプラットフォームで販売し、シーインはピンキーに物流、オンデマンド生産、オンラインの注文管理、マーケティングツールなどを提供する」と語った。

ピンキーは経営困難のために2023年に雇用救済計画(注)の対象となっていたが、同氏によると、2025年末には赤字解消となる見込みだ。現在、ピンキーの約200の店舗は全て国内で、オンライン販売は売り上げの5%にすぎない。このため、シーインはピンキーの国際展開とデジタル化を支援する。シーインのプラットフォームで販売する製品は、ピンキーの店頭やオンラインで販売する製品とは異なる製品とし、シーインのプラットフォームで販売する製品用に約50人のデザイナーを雇用した。

ピンキーとの「戦略的提携」は、シーインが立ち上げたプログラム「シーイン・エクセレレーター(Shein Xcelerator)」の一環で、既存のブランドの国際展開やデジタル化支援と、初めてブランドを立ち上げたいと考えている独立系デザイナー支援の2つを柱とする。

同氏は「シーインの成功は消費者のニーズと願望を理解しているからであり、オンデマンド生産により、売れ残りや在庫を抑え、価格を引き下げられる」と、シーインのビジネスモデルを説明している。対立ではなく共働のために「シーイン・エクセレレーター」を利用するよう呼びかけた。

シーインは73日、経済・財務・産業・デジタル主権省の競争・消費・不正防止総局(DGCCRF)から、不当な価格表示があったとして4,000億ユーロの罰金を受けた。また、93日には個人情報保護違反で15,000万ユーロの罰金の対象となっている(2025年9月9日記事参照)。

欧州繊維産業連盟(EURATEX)など欧州の主要繊維・衣料品連盟は916日、テキスタイルの国際見本市「プルミエール・ビジョン」で、急速に台頭するウルトラファストファッションに対抗するため、EUに対し小口小包への課税の導入や150ユーロ未満の輸入品の関税免除廃止などの緊急対策を強く求めた。

フランスではウルトラファストファッションを規制する法案が20241月に下院に提出されたが、現時点で成立していない。

(注)従業員50人以上の企業が集団解雇を行う時に義務付けられている雇用救済のための計画。フランスの労務関連情報はジェトロホームページを参照。

(奥山直子)

(フランス、EU、中国)

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