メキシコ産生鮮パプリカ、16年の交渉を経て日本での輸入解禁

(メキシコ、日本)

メキシコ発

2025年09月29日

日本の農林水産省は9月17日、植物防疫法施行規則を一部改正し、メキシコ産生鮮パプリカ(注1)の日本への輸入を許可する旨を、メキシコの農業・地方開発省に通知した。

日本では、タバコベと病菌(注2)の日本国内への侵入を防ぐため、同病菌の寄生植物とされていたメキシコ産生鮮パプリカが、輸入禁止品として位置付けられていた。メキシコ政府が日本政府に対して同品目の輸入解禁を要請した2009年以降、2国間の協議が続けられ、メキシコ側が提示した科学的データと日本側による現地調査の結果、メキシコ産パプリカは同国由来のタバコベと病菌の宿主とはならないことが最終的に確認された。その後、2025年7月中旬から8月中旬にかけて実施された日本でのパブリックコメント受け付けを経て、9月17日に植物防疫法施行規則が改正され、16年越しの輸入解禁が実現した。なお、メキシコから他国を経由せず、日本へ直接輸送されるものが対象となる。

メキシコ全国農牧畜協会(CNA)によると、同品目の主な生産地はシナロア州、ソノラ州、ハリスコ州などで、年間平均生産量は310万トンを超える。8月28日に開催された日墨ビジネス環境整備委員会(2025年9月5日記事参照)でも、本件はメキシコ側から日本に対して提示された重要要望事項の1つだった。同国産パプリカの輸出はこれまで米国・カナダ向けが大半を占めており、今回の日本市場の開拓は、メキシコにとって輸出先を多角化する上で重要な一歩となる。

2026年3月に東京ビッグサイトで開催される「FOODEX JAPAN 2026(第51回国際食品・飲料展)」では、メキシコ産生鮮パプリカがメキシコパビリオンの注目商品の1つになる予定だ。

(注1)正式名は「グロッサム種のとうがらしの生果実」。メキシコではpimiento morrónまたはchile bellと呼ばれ、日本でのパプリカに該当する。

(注2)学名Peronospora tabacina。タバコ、唐辛子(パプリカ)、ナス、トマト、ジャガイモなどに寄生する病害。

(深澤竜太)

(メキシコ、日本)

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