「IFA 2025」開催、BtoBと一般客の融合強化、新フォーラムや体験型展示
(ドイツ)
ベルリン発
2025年09月24日
ドイツの国際コンシューマー・エレクトロニクス展「IFA 2025」が9月5~9日、ベルリンで開催された。主催者の発表によると、来場者は22万人、出展は49カ国から1,900社超だった。展示面積は19万平方メートル超で、100周年の前回(2024年10月4日記事参照)を上回る規模で開催された。
IFAの会場であるメッセ・ベルリンの入り口(ジェトロ撮影)
今回は家庭用・消費者向けのテクノロジー、日常生活における人工知能(AI)、ロボティクス、スマートホーム、ゲーミング、コンテンツ制作を中核テーマに設定。会期初日となる9月5日の午前は、正午まで業界関係者優先入場とするなど、主催者はBtoBと一般客の同居設計の維持・最適化に努めていた。
新たな取り組みも複数行われた。画期的なデザインやエンジニアリングに賞を与える「IFAイノベーション・アウォード」を初めて実施。大企業からスタートアップまで企業規模を問わず全世界の企業から500件の応募があった。9月5日に受賞発表が行われ、200人以上のメディア関係者が発表式典に招待された。併設エリアでは受賞製品の体験展示も行われ、業界関係者やメディア、テクノロジー愛好者が体験した。開幕前日の9月4日には、流通・テクノロジー・家電ブランドの幹部が参加する招待制「リテール・リーダーズ・サミット」を初開催。AI活用、サプライチェーンのレジリエンス、持続可能なイノベーションなど、実務課題に即した議論を展開した。また、消費者層との接点拡大も進め、調理や美容といった生活場面や、コンテンツ制作の場面など、さまざまな場面での実装例・体験が会場各所で可視化され、出展者と消費者が直接対話する場面が増えた。スタートアップが中心の「IFA Next」や、OEMなどのBtoB間の調達に焦点を当てた「IFA Global Markets」(9月7~9日の後半3日間のみ開催)のホールも設けられた。
IFAの運営体制は2023年以降、コンシューマー・エレクトロニクス支援協会(gfu)とイベント運営会社クラリオン・イベントの合弁であるIFAマネジメントが企画・運営を担い、会場はメッセ・ベルリンが引き続き担う枠組み。開幕前日に開催されたオープニング・ナイトでは、2034年までベルリンでの開催を継続する契約延長を公表。ベルリン州のカイ・ベーグナー州首相は「IFAがベルリンにとどまることは都市と市民への強いシグナルだ。100年以上にわたり、IFAは世界中から人々を引きつけ、ベルリンが欧州におけるデジタル・エンターテインメント産業の最も魅力的な拠点の1つであることを示してきた。州政府は革新力強化と“Made in Berlin”の未来技術の拡大を目指す」と述べた。
IFAオープニング・ナイトでスピーチする、ベルリン州のカイ・ベーグナー州首相(ジェトロ撮影)
次回は2026年9月4~8日に開催の予定。
(中山裕貴)
(ドイツ)
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