ドイツ最大人口のNRW州自治体選挙、与党CDUが首位を維持

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2025年09月19日

ドイツ西部に位置し、国内で最大の人口・GDPを占めるノルトライン・ウェストファーレン(NRW)州で、9月14日に自治体選挙が実施された。約1,400万人の有権者が市町村首長や議会議員などを選出するもので、今後5年間の地域政策の方向性を決定する重要な選挙であるとともに、2025年2月の連邦議会選挙(2025年2月26日記事参照)後初めて実施される自治体選挙であり、現メルツ政権に対する評価を反映する選挙としても注目を集めていた。

今回の選挙の投票率は56.8%(2020年の前回選挙では51.9%)。州選挙管理当局の9月15日時点の暫定値によれば、得票率(比例票)は多い順に、次のとおりとなった(注1)。

  1. 現NRW州首相が党首を務める中道右派のキリスト教民主同盟(CDU)が33.3%(前回選挙より1.0ポイント減)
  2. 中道左派の社会民主党(SPD)が22.1%(同2.2ポイント減)
  3. 極右のドイツのための選択肢(AfD)が14.5%(同9.4ポイント増)
  4. 環境保護政党の緑の党が13.5%(同6.5ポイント減)
  5. 左派の左翼党が5.6%(同1.8ポイント増)
  6. 自由民主党(FDP)が3.7%(同1.9ポイント減)

引き続き政党選挙(比例票)で1位の座を維持したCDUと同2位のSPDの得票率は微減したが、緑の党は支持基盤を失い、前回2020年の選挙と比べ得票率を3分の2程度まで大幅に落とした。東部ドイツ地域で支持を広げているAfDは、今回の選挙で西部のNRW州でも14.5%まで票を伸ばした。

しかし、政党選挙ではなく、首長選挙を都市別にみると傾向に差がある。2月の連邦議会選挙で国内の注目を集めたゲルゼンキルヒェン(注2)ではAfD候補者の得票率が他の自治体と比べて突出して高かったが、ミュンスター、アーヘンなどではAfDは候補者すら擁立しなかった。これらの都市に加えて、ケルンやデュッセルドルフ、ボンなどのNRW州の中核都市ではCDUや緑の党といった旧来の政党の首長候補者が依然として高い支持を集め、州内でも自治体によって状況が異なる(添付資料表参照)。

(注1)すべての結果は暫定値。単独過半数がいない場合の決選投票は9月28日に実施される予定。

(注2)2025年2月の連邦議会選挙において、長年SPDの牙城として知られていたゲルゼンキルヒェンでAfDが比例選挙で第1党となり、メディアなどに大きく取り上げられた。

(マリナ・プタキドウ、櫻澤健吾)

(ドイツ)

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