スターマー政権、内閣改造で政策の方向性に変化
(英国)
ロンドン発
2025年09月26日
英国のキア・スターマー首相が9月5日に発表した内閣改造(2025年9月10日記事参照)の背景とその影響について、英国のコンサルティング企業フリント・グローバルは、9月9日にポッドキャストを公開。スターマー首相の元首席補佐官サム・ホワイト氏と、スターマー首相の元経済顧問で2024年の総選挙における労働党マニフェスト(2024年6月14日記事参照)の執筆メンバーでもあるラブ・アスワル氏が、内閣改造についての考察を紹介した。
両氏は、今回の内閣改造は以前より計画されていたものだったが、アンジェラ・レイナー副首相(当時)の辞任によってその時期が早まり、結果的に大方の予想よりも大規模なものになったと振り返った。政治的には、右派へのシフト、あるいは少なくとも(9月1日時点の世論調査で支持率が1位の右派)リフォームUKとの対決姿勢をより鮮明に打ち出す方向への転換だと分析。具体例として、穏健左派として知られるイベット・クーパー氏の後任に、強硬右派的な傾向を持つシャバナ・マームード氏が内務相に就任した点を挙げた。同氏の指揮のもと、小型ボートによる外国人の不法入国や亡命申請、人権問題などの課題が、より国民感覚に寄り添ったかたちで進められることで、リフォームUKへの対決力を強めると見る。
さらに、今回の内閣改造により、首相官邸と議会の院内幹事との連携が強化されたと指摘した。これは、福祉制度改革の難航を受け、議会運営の見直しが必要とされたことが要因。特に、ビジネス・通商相として高く評価されていたジョナサン・レイノルズ氏を院内幹事長に据え、議会掌握力の強化を図ったものとみている。
(吉原千佳)
(英国)
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