パナソニック、ヒートポンプ式温水給湯暖房機の本格生産を開始、研究開発投資も加速へ

(チェコ、日本)

プラハ発

2025年09月11日

パナソニック(本社:大阪)は8月29日、チェコ現地法人パナソニックHVACチェコ(PHVACCZ、プルゼン市)が、ヒートポンプ式温水給湯暖房機(A2W)の生産が本格稼働したと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。脱炭素社会の実現、環境意識の高まりに応じて、環境への負荷が少ないA2Wの中長期での市場成長を見込む。

PHVACCZは、2018年にA2W室内機の生産を開始し(2022年12月14日付地域・分析レポート参照)、2023年から日系メーカーとして初めて自然冷媒を採用した室外機も生産している。今回、工場敷地内に建設した新棟が竣工(しゅんこう)し、本格稼働に至った。現在80台導入しているロボットの活用などによる自動化で、生産能力が15万台から、将来的に最大約70万台まで拡張可能となる。さらに、2028年までに部品加工工程の100%無人化、部品組付工程でも現状比で約2倍の自動化率実現を目指す。同時に主要部品の内製化も進め、基幹部品の内製率約70%を実現するとしている。

新棟の竣工式の席で、同社の水田鉄昌社長は「現在、2024年比で2倍を上回るテンポで生産が進んでいる。実際の生産量は欧州におけるヒートポンプの需要に左右されるが、需要は伸びると予測している」と述べた。

また同社は、2024年に研究開発(R&D)部門をチェコに設立した。同部門は、欧州におけるA2W開発の中心的な役割を果たす拠点となる予定だ。水田社長は、「戦略上、研究開発と生産の連携は非常に重要」と強調し、中長期でR&D投資を加速させる方針だ。

竣工式に出席したペトル・フィアラ首相は、今回の投資案件を、チェコ産業の競争力強化や高技能者の雇用機会創出をもたらすものとして高く評価した。また、イノベーションやR&D要素にも言及し、「チェコは、高付加価値の製品を生み出す企業、研究開発を推進する企業を求めている。今後もチェコ政府はこのような投資を積極的に支援していく」と述べた。

(中川圭子、宮川嵩浩)

(チェコ、日本)

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