ラマポーザ・南ア大統領、国連総会一般討論で演説

(南アフリカ共和国、米国)

ヨハネスブルク発

2025年09月26日

訪米中の南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は9月23日、国連総会で一般討論演説を行った。これまでの主張のとおり、国家間の協力と連帯を求め、多国間主義の推進とルール順守に基づく国際関係の推進などを強調した。

ラマポーザ大統領は、南アが2025年11月末まで議長国を務めるG20でも、「連帯、平等、持続可能な開発」をテーマに掲げ、国際社会に団結と協力を呼び掛けるとともに、分断が進むグローバル社会に警鐘を鳴らし続けてきた(2025年1月27日記事参照)。アフリカを代表する立場から、開発資金の確保や多国間開発銀行の改革などの主張は従来どおりだった。また、11月のG20首脳会議に向け、ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ教授が委員長を務める特別委員会を立ち上げ、世界的な富の不平等に関する報告書を作成していることをあらためて紹介した。

さらに、多国間貿易システムについても、WTOが世界貿易で各国の立場の相違を管理し、これらを調整できる唯一の機関であり、その改革が必要だとも言及した。貿易は開発のために国内資源を動員できる最も重要な手段としながら、地政学的ショックと前例のない貿易政策の不安定さが世界経済を動揺させ、開発資金の重要な源泉が危機にさらされているとの懸念も表明した。

ラマポーザ大統領は翌24日、米国商工会議所と共催した南ア・米国貿易投資対話にも出席し、基調講演を行った。トランプ米政権下で課された相互関税について、サプライチェーンを混乱させ、米国と南アの双方に不確実性を産み出しているとしながらも、米国が提起した懸念は理解しており、相互に利益のある解決策を見つけるために建設的に対処したいと述べた。9月末に期限切れが迫る「アフリカ成長機会法(AGOA)」(2025年9月24日記事参照)についても、更新の推進に向け、会議参加者の支援を求めた。

(的場真太郎)

(南アフリカ共和国、米国)

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