タミル・ナドゥ州技能開発公社、介護人材養成で日本語コース導入へ
(インド)
チェンナイ発
2025年09月29日
インド南部タミル・ナドゥ(TN)州の州技能開発公社(Tamil Nadu Skill Development Corporation)が介護職の訓練受講者に対する日本語コースを導入することを決定した。コース運営自体は事業者が行う。同公社のマネジングディレクター、クランティ・クマール・パティ氏が明らかにした(9月4日インタビュー)。
同公社は現在、訓練受講者向けに日本語コースを提供する事業者の関心表明(EOI)募集を行っている(募集要項は添付資料参照)。日本語コース提供以外にも、受講者の就職あっせんや採用を行いたい企業が関心表明できる。
日本語コースはオンラインでの講義を想定しており、1コース100人規模となる見通しだ。就職を視野に入れた短期訓練を予定している。受講生は1人当たり1,200~1,500ルピー(約2,040~2,550円、1ルピー=約1.7円)の補助金対象となる見込みだ。高等教育機関で学ぶ看護学生に対しても、オンラインまたはハイブリッド型の日本語教育の提供を予定している。
TN州技能開発公社が英語以外の外国語コースを開講するのは初めてで、日本語に加え、ドイツ語のコースも開講する。日本語とドイツ語のコース開講の背景として、国内での就職難や、日本企業やドイツ企業からインド学生への高い関心、特に日本語については日本アニメの人気などによる日本語学習者の増加が挙げられる。
インドの民間シンクタンク、インド経済モニタリングセンター(CMIE)の調査によると、2024年度(2024年4月~2025年3月)の大卒以上の学位保有者の失業率は15.04%、全体の年齢別では20~24歳の若者の失業率は40.77%だった。また、従来、インド人にとって人気の就職先だった米国は、現在のトランプ政権下の移民政策などにより、就職先としては不透明感が増しており、米国以外の先進国への就職の関心が高まっている。さらに、2021年度の国際交流基金の調査によると、インド国内には3万6,015人の日本語学習者がおり、2015年度調査時の2万4,011人の約1.5倍に増加している。
(白川佳奈)
(インド)
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