レストラン匠がユーグレナ麺を開発、健康志向の本格ラーメン提供
(バングラデシュ、日本)
ダッカ発
2025年09月17日
バングラデシュの日本食レストラン「匠-TAKUMI」は8月12日、グラミンユーグレナと開発したユーグレナ入りの麵を採用し、ラーメンの提供を開始した。ユーグレナはミドリムシの呼称で知られており、栄養豊富な食材として注目されている。ジェトロはグラミンユーグレナ共同最高経営責任者(CEO)の大西志麻里氏と、TAKUMIの喜久山章太マネージャーに開発の思いを聞いた(インタビュー:8月27日)。
ユーグレナ麺を使用した本格ラーメン(TAKUMI提供)
(問)開発の経緯は。
(答)(喜久山氏)バングラデシュでは、栄養不足や食生活の偏りにより、糖尿病や心臓病に罹患する人が多い。医療が他国に比べて整備されていない状況もある。ユーグレナとラーメンのコラボレーションが現地の人に健康を提供できる手段と考えた。
(答)(大西氏)過去にユーグレナ入りのふりかけを販売したことがあるが、バングラデシュにはご飯にふりかけをかけて食べる食習慣がなかったため、認知が広まらず、事業を軌道に乗せられなかった。そこで、中所得者以上のバングラデシュ人が日本食と言えばラーメンを思い浮かべる人が多いことに着想を得て、現地で比較的なじみのあるラーメンの原料にユーグレナを入れることが販路拡大につながると考えた。
(問)今後、ユーグレナ麺をどのように展開していくのか。
(答)(喜久山氏)顧客のバングラデシュ人の口コミやSNSでの発信に期待したい。インフルエンサーなど発信力のある人を活用し、認知を広げることが重要だ。
(問)今後どのようにユーグレナを広めていくのか。
(答)(大西氏)素材としてのユーグレナが国民食と認知してもらえるよう、現地に根差したアプローチを検討している。内需の拡大が期待できるため、健康ニーズに幅広く応えられる商品を販売していきたい。
(問)現在はユーグレナの原料を輸入しているが、既存の最終製品の取り扱いはどのように考えているか。
(答)(大西氏)日本で販売している最終製品にはハラール対応や価格面の課題がある。まずは原料のユーグレナを日本から輸入し、現地にカスタマイズした商品を作ることに注力していきたい。
(問)物流や通関にはどのように対応しているのか。
(答)(大西氏)原料はハラール認証を得た原料を日本から輸入している。通関では必要書類に公的機関発行の「食品として適正なことの衛生証明書(Fit for Human Consumption Certificate)」が求められる。これは、一部の国では取得可能なものの、日本では取得できないため、バングラデシュ基準検査機関の検査に時間を要している。
グラミンユーグレナ共同最高経営責任者の大西氏(左)と匠マネージャーの喜久山氏(ジェトロ撮影)
(箕浦智崇)
(バングラデシュ、日本)
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