TICAD9併催ビジネスイベントで、アフリカで挑戦する日本企業が取り組み紹介
(アフリカ、日本、ケニア、ナイジェリア、エチオピア、ガーナ、ルワンダ、ボツワナ、コートジボワール)
調査部中東アフリカ課
2025年09月04日
第9回アフリカ開発会議(TICAD9)の併催事業として、ジェトロは8月20~22日に横浜市で、「TICAD Business Expo & Conference(TBEC)」(2025年8月27日記事参照)を開催した。
TBECでは21日、アフリカに進出を果たしたスタートアップを含めた日本企業によるパネルディスカッション「アフリカで挑戦する⽇本企業:現地と共に創るビジネスの可能性」が開催された。
このステージイベントの主催者で、日本企業のアフリカでの事業開発をサポートするコンサルティング企業アクセルアフリカの横山裕司代表取締役がまず、アフリカ経済の現状について説明した。
ナイジェリアではテクノロジーと金融分野が急成長し、エチオピアでは製造業と農業分野が拡大しているほか、ガーナでは天然資源とインフラへの投資が活発だという。ルワンダ、ボツワナは観光とイノベーションを原動力に成長しており、コートジボワールは西アフリカのフランス語圏の中で最も勢いがあると紹介した。
アフリカでのスタートアップ投資額を見ると、2025年上半期(1~6月)に前年同期比78%増の14億ドル超の調達となった。成長分野のフィンテックでは、モバイルマネーやマイクロファイナンスの普及が進んでおり、国際送金や低手数料の決済サービスを提供するスタートアップが台頭したという。クリーンテック分野では、再生可能エネルギーだけでなく、スマート農業、電気モビリティーや廃棄物処理などにも注目が集まる。
アフリカで活躍中のスタートアップを含む日本企業によるプレゼンテーションでは、パナソニック インフォメーションシステムズが中古パソコンの寄付活動を開始しており、「まずアフリカの方々にパナソニック製品を慣れ親しんでもらい、その先の教育や雇用創出につなげていきたい」と述べた。ガーナで電気自動車(EV)やリサイクル事業、農業を展開中のスタートアップMAGO MOTORS JAPAN
は、先進国の廃棄物(家電など)が途上国のスラムに行きつくという現実を目の当たりにして、廃棄物をアートにして先進国に伝える決心から事業をスタートさせたという。ケニアとエチオピアで環境に負荷をかけない移動手段として二輪EVを展開する武蔵精密工業
は「二輪EVのニーズの高まりを感じている。現地の人々は日本の技術へのリスペクトがある」と語った。スタートアップShift 80
は、ケニアのスラム街で古着を組み合わせた服を現地デザイナーと作り、ケニアと日本で販売し、利益で現地を支援している。参加した各社からは、政情不安定な国もあるアフリカ諸国での現地パートナーとのコミュニケーションの重要性も共有された。
パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)
(夏目みゆき)
(アフリカ、日本、ケニア、ナイジェリア、エチオピア、ガーナ、ルワンダ、ボツワナ、コートジボワール)
ビジネス短信 498be9beddc471c7