自動運転車両、プンゴル実証実験区に順次投入
(シンガポール)
シンガポール発
2025年09月26日
シンガポールのジェフリー・シオ運輸相代行兼上級国務相財務担当は9月20日、北東部の産官学連携による実証実験区「プンゴル・デジタル・ディストリクト(PDD)」で、自動運転車両のシャトル運行を順次開始すると発表した。地場タクシー運行会社コンフォートデルグロと地場配車アプリ会社グラブがそれぞれ段階的に、自動運転のシャトル運行を開始する。一部ルートについては、2026年第2四半期(4~6月)までに一般向けサービスを開始する予定だ。
PDDは、工業団地の政府開発機関JTCコーポレーションが開発中の、サイバーセキュリティーやロボティクス、人工知能(AI)などデジタル技術に特化した実証実験区だ(2021年7月29日記事参照)。自動運転シャトルの運行ルートは、PDD内の主要な公共バス停留所と住宅区を結ぶ3つのルートとなる。グラブは、中国の自動運転技術のスタートアップのウィーライド(WeRide)が開発した自動運転車両を使い、全長10キロと12キロの2つの運行ルートでサービスを提供する。コンフォートデルグロは、中国のポニーエーアイ(Pony.ai)が開発した自動運転車両で全長12キロのルートを運行する。
陸運庁(LTA)によると、当初は5~8人乗りの車両を導入する。9月20日から3台の自動運転車両で運行を開始し、2025年末までに10台へ、2026年末までに100~150台に拡大する計画だ。
シオ運輸相代行は演説で、バス運転手の採用難を指摘し、「自動運転車両の導入によって公共輸送網を拡大できる」と述べた。また、運輸省の調査では、調査対象の3分の2以上が政府による自動運転車両導入を支持していることも明らかにした。
シンガポール工科大の新キャンパス、PDD内に正式開校
同国の公立大学、シンガポール工科大学(SIT)の新キャンパスが9月16日、PDD内に正式に開校した。新キャンパスはビジネスパークに隣接することで、産官学連携の取り組みを容易にしている。このほか、地場大手銀行のUOBとOCBCが合計で10億シンガポール・ドル(約1,160億円、Sドル、1Sドル=約116円)以上のPDDへの投資計画を発表し、8月にはパナソニックがイノベーション拠点を設置している。
(本田智津絵)
(シンガポール)
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