ナミビアで水素プロジェクトが前進
(ナミビア、ケニア)
ヨハネスブルク発
2025年09月30日
「国際アフリカ水素サミット(Global African Hydrogen Summit 2025)」が9月9日から11日にかけて、ナミビアの首都ウィントフックで開催された(2025年9月22日記事参照)。サミットにはナミビアのほか、アフリカからはアフリカ・グリーン水素同盟(AGHA、注)のメンバーであるケニア、南アフリカ共和国、エジプト、モーリタニア、モロッコが参加した。
サミットでは、ナミビア企業のハイアイアン・グリーン・テクノロジーズとハイフェン・ハイドロジェン・エナジーによる、同国内での2つのプロジェクトの進捗が共有された。ハイアイアン・グリーン・テクノロジーズは、2025年8月に横浜で開催された第9回アフリカ開発会議(TICAD9)において、豊田通商およびナミビア政府と覚書(MoU)を締結している。同社は自動車産業などを念頭に、製造時の二酸化炭素(CO2)排出量を従来の鉄鋼より大幅に削減したグリーン鉄鋼の生産が現実的になってきたと述べた。また、グリーン鉄の生産に対応する課題の大きさを認めつつ、年間1万5,000トンの試験的な生産をさらに拡大することを念頭に、資金調達と販売先確保の面で世界中のパートナーを模索しているとした。
一方、ハイフェン・ハイドロジェン・エナジーについては、再生可能エネルギーを活用し2030年までに年間約200万トンのグリーンアンモニア生産を目指す、100億ドルを超えるプロジェクトの紹介があった。現在、プロジェクトは中国化学工程(CNCEC)およびその子会社の中国化学工程第七建設(CC7)と、グリーン水素プロジェクトの設計・建設の契約を締結した段階にある。同社は「本プロジェクトはナミビアの産業発展にとっての『ゲームチェンジャー』と位置付け、(同国を)グリーンエネルギー輸出国へと導く」と述べている。肥料や船舶燃料向けのグリーンアンモニアの生産により、現地での付加価値加工を推進したい意向だ。
ナミビア以外では、ケニアから政府関係者や発電公社(KenGen)などの積極的な参加があった。パネルディスカッションを通じて、水素プロジェクトにおける国内資源の活用や地域社会への貢献が言及された。ケニア当局者は、同国の豊富な地熱・太陽光をグリーン水素生産の資源とし、競争力のあるコストで生産した水素を製造業や農業加工業などの支援に活用したいと説明した。
(注)2022年に、ケニア、南ア、ナミビア、エジプト、モロッコ、モーリタニアの6カ国により発足。その後、アルジェリア、アンゴラ、ジブチ、エチオピア、ナイジェリアが加盟した。アフリカ大陸をグリーン水素開発の先駆者とし、化石燃料依存からの脱却やエネルギー転換の促進を目的としている。
(トラスト・ムブトゥンガイ、多崎央)
(ナミビア、ケニア)
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