8月の貿易赤字は輸入減少で、264億9,000万ドルに縮小
(インド)
ムンバイ発
2025年09月24日
インド商工省(MoCI)が9月15日に発表した「貿易統計(速報値)」によると、8月の貿易収支(サービスを除く)は約264億9,000万ドルの赤字だった(添付資料図参照)。金や輸送機器などの輸入が減少したことにより、赤字幅は7月の273億5,000万ドルからわずかに縮小した。輸出額は351億418万ドルで前年同月比6.7%増加、輸入額は615億9,142万ドルで10.1%減少した。
輸出額の内訳を見ると、金額の大きいエンジニアリング製品が99億90万ドル(前年同月比4.9%増)、石油製品44億7,967万ドル(6.5%増)、電子製品29億2,634万ドル(25.9%増)、医薬品25億1,013万ドル(6.9%増)、有機・無機化学製品24億1,675万ドル(3.8%増)、宝石類23億1,192万ドル(15.6%増)などが増加した。一方、衣料品は12億3,457万ドル(2.7%減)と減少した。
輸入に関しては、輸入額全体の約2割を占める石油製品・原油が132億6,542万ドルで、前年同月比9.4%増加したほか、電子製品97億3,073万ドル(8.4%増)、電気・一般機械51億5,442万ドル(3.1%増)、非鉄金属24億7,666万ドル(5.0%増)などが増加した。一方で、金54億3,926万ドル(56.7%減)、石炭・コークスなど20億6,209万ドル(26.2%減)、有機・無機化学製品24億9,221万ドル(5.2%減)、輸送機器22億8,536万ドル(26.5%減)などは減少した。
今回の統計は米国による追加関税措置発動後初となる月次データだが(2025年8月8日記事参照)、輸出額は全体では増加しており、影響はまだ限定的だ。現地報道では、「多くの輸出業者が関税発効前に出荷を前倒ししたため、8月の輸出全体は増加を維持したものの、衣料品など一部繊維製品には減少がみられた。実際の打撃は9月以降に表れるだろう」との指摘もある(「タイムズ・オブ・インディア」紙9月15日)。
(篠田正大)
(インド)
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