ロンタイン国際空港、ホーチミン発着の全国際線を集約へ
(ベトナム)
ホーチミン発
2025年09月04日
ベトナム南部のホーチミン発着の全ての国際線は、2026年に第1期開業を予定するドンナイ省のロンタイン国際空港(注、2025年6月12日記事参照)に移管される見込みとなった。ベトナム建設省によると、既存のホーチミン市のタンソンニャット国際空港(2025年4月25日記事参照)とロンタイン国際空港の運営方針は、さらに検討を重ねた上で、9月中をめどに決定されるという。
ベトナム空港公社(ACV)は両空港の運営に関して次の2案を提示した。これに対し、民間航空局と航空会社各社は第1案に賛同している状況だ。
- 第1案:ロンタイン空港は全ての国際線と一部乗り継ぎの国内線を扱う。年間旅客数は国際線が約1,910万人、国内線が約150万人を見込む。タンソンニャット空港は国内線の95%を扱い、年間旅客数は約2,950万人を見込む。
- 第2案:ロンタイン空港は長距離国際線(全体の80%)と乗り継ぎの国内線を扱い、タンソンニャット空港は1,000キロ未満の短距離国際線(全体の20%)と国内線を扱う。ロンタイン空港の年間旅客数は国際線が約1,530万人、国内線が約150万人を見込む。タンソンニャット空港の年間旅客数は国際線が約380万人、国内線が約2,950万人を見込む。
第1案は、国際線の運営をロンタイン空港に一本化することで、運営コストの削減とともに、ハブ空港として競争力向上が見込まれる。また、同空港は市街地から離れているため、24時間運用も可能になる。一方、ホーチミン市内からのアクセスでは、タンソンニャット空港よりも離れているため、利便性の低下が懸念される。
第2案では、乗り継ぎ客が両空港間の移動を避ける可能性があり、ロンタイン空港は国際線旅客の8.8%を失う恐れがあると指摘されている(「ベトナム・ネット」8月11日)。
ロンタイン空港につながる道路インフラ整備進む
ロンタイン空港の第1期工事は2025年12月19日までに完了し、同日にハノイから同空港への初便を受け入れる計画だ。商業運用は2026年上半期に開始される見込みだ(ベトナム政府電子版7月31日、「トイチェ」8月20日)。
ロンタイン空港にアクセスする道路建設も順調に進んでおり、進捗状況は次のとおり。
- ホーチミン市~ロンタイン~ザウザイ(ドンナイ省)間の高速道路拡張工事:8月19日に着工し、2026年内に完成予定。
- ビエンホア(ドンナイ省)~ブンタウ(バリア・ブンタウ省)間の高速道路:2023年6月に着工。工事の進捗に遅れが見られるが、2025年12月19日までに開通予定(「ドンナイ」電子新聞7月26日)。
- ベンルック(ロンアン省)~ホーチミン市~ロンタイン間の高速道路:8月21日時点で工事全体の約37%を終えており、2026年4月の開通を目指している(「ハノイ・モイ」新聞8月21日)。
建設が進むロンタイン国際空港のターミナル(ジェトロ撮影、8月19日視察)
ロンタイン国際空港の滑走路と低地(ジェトロ撮影、8月19日視察)
(注)ロンタイン空港の建設プロジェクトは、第1期から第3期の3段階に分かれており、第1期で年間2,500万人の旅客に対応できる空港を整備し、第2期で年間5,000万人、第3期で年間1億人以上の旅客対応ができる設備に拡張する。なお、現在の首都ハノイ市のノイバイ国際空港の年間旅客処理能力は3,000万人、ホーチミン市のタンソンニャット空港は5,000万人。
(新田和葉、トゥ・ハー)
(ベトナム)
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