海南省、外国機関を対象に医療・健康産業視察ミッション実施
(中国)
広州発
2025年09月17日
中国海南省政府外事弁公室と中国国際貿易促進委員会(CCPIT)海南省分会は9月3日から5日にかけ、外国使節や在中国の外国公的機関・経済団体を対象として、海南省への医療・健康産業の視察ミッションを実施した。ミッション団には、在中日本大使館や中国日本商会などから日本政府や経済団体などの関係者らが参加したほか、カンボジアの在海口総領事館、韓国の在広州総領事館、中国EU商会、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)、広州韓国商工会などから計26人が参加した。
初日の3日には、海口市の医薬産業集積地「海口国家ハイテク技術産業開発区」にある「海口薬谷展示館」を訪問し、海南省の医薬産業の概況について説明を受けた。続いて、同開発区内に拠点を置く中国系製薬企業の先声薬業やバイオテクノロジー企業の華熙生物を訪問した。午後には同省の関係部局による政策説明会が開催され、海南自由貿易港での輸入貨物に対する「ゼロ関税」政策や、同港奨励類産業に該当する企業に対する所得税の減税措置などの制度(2024年3月21日記事、2025年8月4日記事、2025年9月8日記事参照)、バイオ医薬産業の概況について紹介があった。説明によると、海南省全体の医薬品製造業生産額に占める同開発区の生産額の構成比は約78%を占め、9月時点で約180社の関連企業が進出しているという。
翌4日には、博鰲(ボアオ)楽城国際医療旅行先行区(楽城先行区)を訪問した。楽城先行区管理局の担当者によると、同区は国内で唯一の医療特区として、特許医療、特許研究、特許経営、特許国際医療交流などの分野で、全国で最も開放的なイノベーション政策が実施されている。これまでに累計500種類以上の国際的なイノベーションによる医薬品・医療器械が中国で初めて導入されている。こうした製品の中で日系企業による製品は約20種類で、全体の約5%にとどまる一方、欧米系企業による製品は200種類以上にのぼるという。
最終日の5日には、海南省の少数民族、黎族(リー族)の中国伝統医学(中医)による療法を提供する保亭黎族苗族自治県黎医病院を訪問し、地域資源を生かしたヘルスケア産業の可能性について説明を受けた。続いて訪問した三亜市国際友好中医病院では、国際医療交流の取り組みについて紹介があった。午後には三亜市投資促進局で座談会が開催され、同市の経済概況や医療・観光融合型産業への投資機会について意見交換が行われた。
日本企業の参加者からは、「これまで海南省は観光地という印象が強かったが、今回の視察を通じて、医療・健康分野のビジネス展開の可能性を感じた。今後の交流に期待したい」との声が寄せられた。
(汪涵芷)
(中国)
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