ASEAN、RCEP協定加入手続き策定、EV・半導体の枠組みも議論
(ASEAN)
バンコク発
2025年09月19日
タイ商務省貿易交渉局(DTN)は8月29日、マレーシア・クアラルンプールで同月18日から23日まで開催されたASEAN高級経済実務者会合(SEOM)の結果を公表した。今回のSEOMは、9月に予定される第56回ASEAN経済大臣会合(AEM)に向けた準備として、経済課題を協議する場となった。
2025年のSEOM開催は今回で3回目となる。会合では主要な経済枠組みの進展状況や、ASEAN経済共同体(AEC)ブループリント2025に基づく経済課題の達成状況(2021年5月13日記事参照)が議論された。
経済枠組みに関しては、ASEAN物品貿易協定(ATIGA)とASEAN中国自由貿易協定(ACFTA)の改定交渉が妥結し、2025年10月に署名の予定と報告された(2025年6月2日記事参照)。一方、デジタル経済枠組み協定(DEFA)とASEANインド物品貿易協定(AITIGA)の改定交渉は継続中で、2025年内の妥結を目指す方針を堅持している。商務省外国貿易局(DFT)の発表(8月26日)によると、DEFAはこれまでに13回の交渉会合が行われ、交渉進捗率は6割を超えている。
また、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定についても、ASEAN以外の参加国とともに、新規加入手続きを策定した。物品・サービス貿易や投資に関する交渉手順、小作業部会の設置を盛り込んだ。今後はRCEP閣僚会合で正式な承認を得た上で、加入申請国との交渉を開始する予定だ。
経済上の優先課題については、電気自動車(EV)産業の発展を目的とする「EVバッテリーパスポート」制度の手続きや、ASEAN統合半導体サプライチェーン枠組み(AFISS)の設立について、重大な進展があったとした。
さらに、ASEANは対話パートナー10カ国(注)との協議も実施した。貿易・投資、デジタル経済・技術、クリーンエネルギーおよび持続可能性の3分野を中心に、経済協力の強化に向けた議論を行った。
今回のSEOMの成果は9月〜10月に予定されるAEMとRCEP閣僚会合、ASEAN首脳会議(サミット)に提出される予定だ。
(注)カナダ、英国、ロシア、インド、オーストラリア、ニュージーランド、中国、日本、韓国、米国。
(藪恭兵、シリンポーン・パックピンペット)
(ASEAN)
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