TICAD9に合わせて、宇宙・衛星関連イベントをジェトロが複数開催
(アフリカ、日本)
調査部中東アフリカ課
2025年08月25日
第9回アフリカ開発会議(TICAD9)の併催事業として、ジェトロは8月20~22日に横浜市で、「TICAD Business Expo & Conference(TBEC)」を開催した(2025年8月20日記事参照)。
TBECでは、8月21日に宇宙関連のセッションを複数開催した。2025年4月にはアフリカ連合(AU)の長期的な開発ビジョン「アジェンダ2063」に基づき、アフリカ宇宙庁(AfSA)がエジプトのカイロで正式に発足し、宇宙技術活用の機運が高まっている。
宇宙ビジネス共創プラットフォームのクロスユーは「支援から共創へ:衛星データが拓く日アフリカの新しいパートナーシップ」と題したセッションを開催した。日本の地球観測衛星ネットワークとアフリカの社会課題を結び、気候変動や農業、災害対応などの分野で、衛星データを活用した官民共創型ソリューションの可能性に向けた内容で、小型衛星を開発するアクセルスペース
などが登壇した。
人工知能(AI)を活用した衛星データ解析ソフトウエアを開発するスペースシフトは「衛星データを活用した持続可能な農業とグリーン成長」と題したセッションで、ナイジェリアでの農業分野の衛星データ活用事例を紹介した。
衛星による農地の解析技術を持つサグリは「アフリカ農業を切り拓く:衛星データとデジタル革新で実現するスマートファーミング」と題し、衛星データとAIによる土壌マッピングによるアフリカ農業のスマート化促進に関するセッションを開催した。アフリカで農地の境界抽出や土壌特性の可視化を通じ、生産性向上とコスト削減に寄与する技術と、デジタル農業がもたらす持続可能な食料システム構築の可能性を紹介した。
サグリのセッション(ジェトロ撮影)
地球観測、船舶向け衛星通信、IoT(モノのインターネット)データ収集などに対応するアークエッジ・スペースは「日・アフリカ共創の宇宙インフラ:地上と宇宙の新たなビジネス・エコシステムの創出」と題したセッションを開催した。宇宙や衛星関連の研究、人材・制度、インフラの整備などについて、東京大学やエジプト日本科学技術大学(E-JUST)、ケニアのジョモケニアッタ大学の関係者と議論した。
アークエッジ・スペースのセッション(ジェトロ撮影)
TBEC会場外では、国際協力機構(JICA)が22日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、クロスユーとの共催で、「アフリカの変革を加速する宇宙技術」と題したイベントを開催した。農業や水資源、防災、保健、教育、インフラなどの課題に対して、衛星活用による対応の可能性について議論した。
(井澤壌士)
(アフリカ、日本)
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