トランプ米大統領が雇用統計の結果を受け、労働省統計局長を解雇

(米国)

ニューヨーク発

2025年08月04日

米国のドナルド・トランプ大統領は8月1日、同日発表された雇用統計(2025年8月4日記事参照)の結果を受け、エリカ・マッケンターファー労働省統計局長を解雇すると自身のSNS外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで発表した。トランプ大統領は「雇用統計はバイデン政権によって任命された局長によって作成されており、選挙前に統計を偽造し、カマラ・ハリス氏の勝利の可能性を高めようとした」「(2025年7月の)雇用者数はわずか7万3,000人増加したと述べたが、さらに重要なのは、過去2カ月で25万8,000人の雇用が減ったというミスを犯した」とし、「正確な雇用統計が必要であり、このバイデン政権の政治任命によって選ばれた者を即時解雇するように指示した」と述べている。トランプ氏の主張する「統計の偽造」は、雇用統計のベンチマーク改定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますと通常の遡及(そきゅう)改定(2024年11月5日記事参照)による改定を指すものとみられる。

しかし、トランプ氏によるこれらの批判に対しては、米ビジネス専門メディアCNBCが「データ収集にはしばしばタイムラグが生じることがあるが、そのラグは不正行為や操作を示唆するものではない」とするなど(電子版8月1日)、遡及改定に対する誤解や誤認に基づくものとの見方が一般的だ。また、今回の決定に関し政治専門誌「ポリティコ」(8月1日)は、「トランプ大統領の突然の行動は、(統計局やその業務への)信頼を損ねる恐れがある。トランプ大統領はマッケンターファー氏をはるかに有能で適格な人物に交代させると誓ったが、誰が選任されても、議会とウォール街から強い疑念を抱かれるだろう」とするなど、トランプ氏の行動がかえって統計への信頼性を損ねる恐れがあるとの批判もある。

(加藤翔一)

(米国)

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