中国、個人消費ローンとサービス業融資に対する1ポイント分の利子補給を発表
(中国)
北京発
2025年08月20日
中国の財政部と中国人民銀行(中央銀行)、金融監督管理総局は8月12日、「個人消費ローンに対する利子補給政策実施プラン」を発表した。
同プランでは、9月1日から2026年8月31日までの期間に、個人が金融機関(注1)の消費ローン(クレジットカード業務を除く)を利用する際、融資利子の1ポイント分を政府が補給するとした。ただし、適用範囲は実際に契約した借入金利子の50%以下としている(注2)。
利子補給の対象について、単価5万元(約102万5,000円、1元=約20.5円)未満の消費、単価5万元以上で自家用車、養老・出産・育児、教育・トレーニング、文化観光、住宅インテリア・内装、電子製品、ヘルスケア・医療の7分野に関する消費とする。単価5万元以上の消費については、5万元の消費額を上限として利子補給を適用する。また、借入人が1つの取扱機関で受給できる利子補給の累計上限額は3,000元とする(注3)。
また、財政部、民政部、人力資源社会保障部など9部門は同日、「サービス業経営主体の融資に対する利子補給政策実施プラン」を発表した。同プランでは、飲食・宿泊、ヘルスケア、養老、育児、家政、文化・娯楽、観光、体育の8分野でサービス業を営む経営主体(注4)への融資に対し、1ポイント分の利子補給を行うとした。利子補給の対象は、事業者が2025年3月16日(注5)から2025年12月31日までに、消費に関わるインフラ整備やサービス供給能力向上のために銀行(注6)から借り入れる資金とする。適用期限は最大1年間で、利子補給が適用される融資金額の上限は100万元とする。
上記の2つの利子補給政策を実施するための原資は、中央財政が9割、地方財政が1割を負担する。また、利子補給の計算や申請手続きなどについては、主に融資取扱機関が担当する。なお、政策の期限が切れた後は、効果を評価した上で、政策の期限延長や支援範囲の拡大を検討するとした。
財政部の廖岷副部長は8月13日の記者会見で両政策の目的について、「財政と金融の連携強化を通じて、より多くの融資資金を消費分野に誘導し、国民と事業者の融資コストを低減する。これにより、人々の生活の保障と改善を推進しつつ、消費の活性化を通じた経済循環の円滑化を図ること」と説明した。
(注1)6つの国有商業銀行(中国工商銀行、中国農業銀行、中国銀行、中国建設銀行、交通銀行、中国郵政貯蓄銀行)、全国で業務展開している商業銀行12行(中信銀行、中国光大銀行、華夏銀行、中国民生銀行、招商銀行、興業銀行、広発銀行、平安銀行、上海浦東発展銀行、恒豊銀行、浙商銀行、渤海銀行)、個人消費ローンを取り扱う5つの金融機関(深セン前海微衆銀行、重慶螞蟻消費金融、招聯消費金融股份、興業消費金融股份、中銀消費金融)が含まれる。
(注2)財政部の廖岷副部長によると、現在、商業銀行の個人消費ローン向けの金利相場は年3%となっている。
(注3)該当する累計消費金額が30万元となる。また、単価5万元未満の個人消費ローンについては、受給できる利子補給の累計上限額は1,000元とする。
(注4)中国で営利を目的として経営活動を行う個人事業者、法人、非法人組織を指す。非法人組織の民営の高齢者施設も該当する。
(注5)2025年3月16日に「消費振興特別行動プラン」が発表された(2025年3月24日記事参照)。同プランでは、財政補助や利子補給など消費支援への財政政策の整備を盛り込んでいる。
(注6)国家開発銀行、中国輸出入銀行、中国農業発展銀行、中国工商銀行、中国農業銀行、中国銀行、中国建設銀行、交通銀行、中国郵政貯蓄銀行、中信銀行、中国光大銀行、 華夏銀行、中国民生銀行、招商銀行、興業銀行、広発銀行、平安銀行、上海浦東発展銀行、恒豊銀行、浙商銀行、渤海銀行の21行と指定している。
(張敏)
(中国)
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