世界銀行、イスタンブールの災害対策などに6.5億ドルの融資を発表

(トルコ、日本)

イスタンブール発

2025年08月14日

世界銀行は8月8日、イスタンブールの地震など災害に対する強靭(きょうじん)化を目的とした6億5,000万ドルの融資を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。災害リスクの軽減やインフラの強化などを目的としたイスタンブール県が主導する「イスタンブール・レジリエンス・プロジェクトPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」計画を支援する。

同プロジェクトでは、災害時の公共サービス機能の維持など次の4つの主要分野に重点が置かれている。

  • 緊急時の対応能力の強化:250の救急・医療ステーション、2つの捜索・救助センター、19の消防署などの施設の建設を支援する。また、緊急時の捜査能力の向上を目的とした関連機器の調達、訓練、地域レベルの準備活動の支援なども盛り込まれている。
  • 公共建築物のレジリエンス強化:学校、高齢者施設、コミュニティセンターなど約50の公共施設が耐震基準に基づき建設される。これらは、災害時の避難場所として機能し、太陽光発電、雨水の貯留などグリーンインフラなども導入される。
  • 技術支援と組織強化:イスタンブールの地方自治体とイスタンブール・プロジェクト調整ユニット(IPCU)に対し、技術調査、組織能力構築、長期的な投資ニーズの計画策定を支援する。さらに、世界銀行防災グローバル・ファシリティ(GFDRR)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの支援を受けてIPCUチームに耐震基準と技術支援が提供される。
  • 緊急時対応:将来の緊急事態発生時に、プロジェクト資金を迅速に再配分し、緊急の復旧・復興ニーズを支援する。

イスタンブール県は人口約1,570万を抱え(2025年3月26日記事参照)、トルコのGDPの30.4%を占める外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます同国最大の経済都市だが、過去、大きな地震の被害を受けた歴史があり、マルマラ海下には地震空白域(注)とされる断層を有するなど、都市の脆弱(ぜいじゃく)性が指摘されている。

地震防災に詳しい在イスタンブールの一級建築士によると、日本の免震装置などの新技術や既存の建造物の補強技術はトルコで今後も可能性がある一方、製品価格や納期などを課題として挙げている。

(注)地震の分布図を描くと、周辺には地震活動があるものの、その部分だけ地震が起こっていない(あるいは、比較的静穏な)ところが現れる場合がある。これを空白域と呼ぶ。

(佐野充明)

(トルコ、日本)

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