2025年の世界貿易量を0.9%増に上方修正、WTOが予測を更新
(世界)
調査部国際経済課
2025年08月14日
WTOは8月8日、世界貿易見通しの予測を更新し、2025年の世界の財貿易量(輸出入平均)を前年比0.9%増と予測した(添付資料表参照)。同年4月に発表した、米国による関税引き上げがない場合の基準予測(2.7%増)と比較すると依然低いものの、4月14日時点の関税措置を前提とした調整予測の0.2%減の予測からは1ポイントを超える上方修正となった(2025年4月17日記事参照)。
上方修正の要因の1つには、2025年第1四半期の米国における関税引き上げ前の前倒し輸入が挙げられる。2025年の米国を含む北米の財貿易量の予測は、輸出が4.2%減、輸入が8.3%減と前年比で減少するが、前回4月予測の12.6%減、9.6%減からは大幅な上方修正となった。加えて、世界経済の見通しが4月時点の予測よりも好転した点も上方修正に寄与した。また、米国が8月7日に導入を開始した「相互関税」は徐々に世界貿易の重荷になるとの見通しだが、2025年については米国の前倒し需要や在庫の積み増しが相殺する。
WTOは、米国の追加関税引き上げ(注)が2025年後半と2026年の貿易を抑制するとの見通しを示す。輸入の前倒しに伴い将来的な輸入需要が低下すると見込まれ、米国の追加関税措置による影響が2026年以降にずれ込むことで、2026年の財貿易量予測は、前回予測から0.7ポイント低い1.8%増にとどまる。
WTOのンゴジ・オコンジョ=イウェアラ事務局長は「世界貿易は最近の関税引き上げを含む継続的なショックに対して回復力を示してきた」とし、世界貿易に深刻な打撃を与え得る報復措置の連鎖が現時点では回避されている点を重要と評した。他方、米国の関税措置による不確実性の影が、景況感、投資、サプライチェーンに重くのしかかっているとの懸念も示した。WTO事務局として、最新の関税措置が世界貿易に与える影響を継続的に監視するとともに、世界貿易システムにとって不可欠な安全性と予測可能性を保護するための取り組みを加盟国と協力して進めるとした。
(注)今回の予測発表日の週に発効した追加関税引き上げ分を含む。
(田中麻理)
(世界)
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