ハノイ市で2026年7月からガソリンバイク通行制限を計画、二輪車協会は見直しを要望
(ベトナム)
ハノイ発
2025年08月13日
ベトナムのハノイ市では、2026年7月以降、ガソリンバイクなどの走行を段階的に制限する計画が進められている。
大気汚染と交通渋滞が深刻な同市では、これまでも二輪車(バイク)の制限計画が検討され、2030年以降の実施が見込まれていた(2022年4月13日記事参照)。しかし、政府は2025年7月12日に首相指示を公布し、環境保護や大気汚染軽減などのため、2026年7月1日からガソリンバイクとスクーターの通行制限を段階的に制限するよう、ハノイ市人民委員会に命じた。
具体的には、2026年7月から環状1号線の内側でガソリンバイクとスクーターの通行を全面禁止とし、2028年1月1日からは規制区域を環状2号線まで拡大するとともに、自家用ガソリン車も対象に加える。2030年以降は、規制区域は環状3号線まで広げる。環状1号線は市内中心部を囲む全長15キロの道路で、規制区域には多くの日系企業が入居するオフィスビルや在ベトナム日本大使館、ベトナム中央省庁、観光地の旧市街なども含まれる。
市民や専門家からは、環境改善に資する政策として歓迎する声がある一方、バス・都市鉄道などの交通手段や電動バイク向け充電設備などのインフラが整っていない状況での急速な規制に懸念も広がっている。
現地報道によると、ベトナム二輪車製造者協会(VAMM:ホンダベトナム、ベトナムスズキ、ヤマハモーターベトナムなどが加盟)は、環境保護を推進する国の方針に同意しつつ、規制開始の時期を再考するよう求めている(VNエクスプレス7月30日)。VAMMが政府と関係省庁に送った請願書では、環境保護に貢献する大規模投資の意向を示した上で、電動バイクの購入を迫られる世帯の負担や、約2,000店舗の販売網と約200社のサプライヤーの経営への影響などを指摘し、十分な準備期間を設ける必要性を訴えた(テーゾーイ・ティエップティ7月31日)。
他方、地場複合企業ビングループ傘下で電気自動車(EV)や電動バイクを製造・販売するビンファストは、ハノイ市の住民を対象に電動バイクの購入補助を実施するよう、ハノイ市人民委員会に提案した。さらに自社でも、ガソリン車からEVへの乗り換えを支援するキャンペーンなどを展開する。
(萩原遼太朗)
(ベトナム)
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