2024年の輸出額が過去最高で貿易赤字縮小、資源活用と産業多様化が後押し

(セネガル)

アビジャン発

2025年08月04日

セネガル国家統計人口庁(ANSD)が7月22日に発表した「国際貿易分析ノート(NACE)2024」によると、2024年のセネガルの輸出総額は、前年比21.3%増の3兆9,091億CFAフラン(約1兆164億円、1CFAフラン=約0.26円)となり、過去最高を記録した。輸入は前年比0.6%減の7兆1,614億CFAフランで、貿易収支は前年の3兆9,839億CFAフランの赤字から、3兆2,523億CFAフランの赤字に改善した。ANSDによると、輸出額の増加は主に原油、精製石油製品、非貨幣用金、魚の缶詰の輸出額増加が貢献した。

地域別の輸出先では、アフリカが全体の37.0%、次いで欧州(27.2%)、アジア(23.6%)と続く。2024年のアフリカ向け輸出は前年比2.6%の小幅な増加だったが、欧州向けは、金と原油の需要増が牽引し、34.1%増を記録した。アジア向けでは、原油、ジルコン、鉱物・化学肥料とリン酸の輸出増加が後押しし、47.2%の高い伸び率だった。一方、主な輸入元では、依然として欧州が45.1%と高く、アジア31.1%、アフリカ12.0%、米州10.4%、オセアニア0.5%が続いた。

現地報道では、今回の輸出額の大幅増加は、経済的主権を目指して推進している経済の多角化と輸出戦略の効果を象徴するもので、セネガル経済は原材料輸出への依存から脱却し、国内での加工技術の高度化や産業ノウハウの蓄積が進んでいると評価した。政府は2024年10月に長期国家戦略「セネガル2050」を発表し、自国の資源を最大限活用した産業化と経済の多様化による経済成長を大きな柱に掲げている。

同国では、2024年6月に沖合のサンゴマール海底油田で原油生産が開始され、重要な外貨獲得の手段となっている。また、2025年3月にはモーリタニアとセネガルの両海域をまたぐ海底ガス田「グラン・トルチュー・アハメイム(GTA)」で天然ガスの液化が開始されている(2025年3月19日記事参照)。IMFは、石油・ガス部門の牽引により、セネガルの2024年の実質GDP成長率を6.0%、2025年を8.4%と予測している(2025年5月21日記事参照)。

(長屋幸一郎、橘欣子)

(セネガル)

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