2025年のセネガルの経済成長率予測はサブサハラ・アフリカ地域で最も高い8.4%
(セネガル、西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA))
アビジャン発
2025年05月21日
IMFが4月25日に公表した「地域経済見通し(サブサハラ・アフリカ)」によると、セネガルの2025年実質GDP成長率は8.4%の予測で、サブサハラ・アフリカの平均3.8%を大幅に上回り、地域で最も高い成長率となっている。消費者物価指数の上昇率(インフレ率)の平均年率は2.0%と低位安定して推移し、財政赤字はGDP比7.3%(2024年:11.7%)に改善される見通しだ。
セネガルの会計検査院は、2025年2月12日に前政権下の2019~2023年に行われた国家財政の粉飾決算に関する監査報告書を発表した。これを受けて、IMFは3月18~26日に、セネガルでレビュー調査を実施した。IMFはミッション実施後、当該期間における財政赤字と公的債務残高の大幅な過小申告を確認したと発表した。また、不正を引き起こしたメカニズムや法制度上の要因、財政監視の強化、再発を防ぐための措置について協議したことを明らかにした。そして、セネガル政府による財政透明性向上へのコミットメントを高く評価し、必要な条件が整い次第、監査結果と国家の開発優先事項に基づいた新たな経済改革プログラムについて協議する準備があるとした。
IMFによると、2024年のセネガル経済は石油・ガス部門の好調に牽引され、実質GDP成長率は6.0%の見込みで、インフレ率は0.8%に低下している。財政赤字はGDP比11.7%、公的債務残高はGDP比105.7%に達し、それぞれ西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA)(注)の経済収斂(しゅうれん)基準の上限である3%、70%を上回っている。今後については、UEMOAの収斂基準達成に向けて抜本的な経済改革を加速するとともに、免税措置の縮小やエネルギー補助金の段階的な廃止などにより財務負担を低減しつつ、財政健全化を推進し、持続可能な債務管理を強化する必要があると指摘した。
セネガルでは近年、大規模油田が相次ぎ発見され、投資と輸出の回復によって堅調な成長が続いている。首都ダカールの沖合に位置するサンゴマール海底油田や、セネガルとモーリタニアの海域をまたぐグラン・トルチュー・アハメイム(GTA)海底ガス田では本格的な生産が開始された(2025年3月19日記事参照)。
活発な石油開発に伴い、エネルギー分野の輸出も伸びている。セネガル国家統計人口庁(ANSD)によると、輸出総額(FOBベース)に占めるエネルギー・潤滑剤の割合は、2023年の21.5%から2024年には32.2%に増加し、最大の輸出品目だった食品・飲料品・たばこ(2024年構成比:19.4%)を抜いて首位となった。2025年2月には、エネルギー・潤滑剤の割合は57.8%にまで増加した。
(注)UEMOA加盟国は、ベナン、ブルキナファソ、コートジボワール、ギニアビサウ、マリ、ニジェール、セネガル、トーゴ。2025年のUEMOAの実質GDP成長率は、アフリカ域内の経済圏・経済共同体の中で、最も高い6.3%となる見通し。
(渡辺久美子、橘欣子)
(セネガル、西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA))
ビジネス短信 e53907eefb12c345