ブラジル、国外向けデータセンター事業に税恩典を付与

(ブラジル、中国)

サンパウロ発

2025年08月15日

ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は7月21日、輸出奨励地区(ZPE、注1)でデータセンター建設を促進するため、大統領暫定措置令(MP)第1307/2025号を即日施行した。従来、ZPEの税優遇措置は製造業を主な対象としていたが、同措置令により、国外向けにサービスを提供する事業者も対象となる。中でもデータセンターは政府が特に重視する分野とされる。

ルーラ大統領は同日付の大統領府公式サイトで「この措置により(ZPEでの)データセンター建設が可能になる。最初の大規模データセンターはセアラ州(のZPE)で構築されるだろう。他の州にも同じような取り組みを期待する」と述べた。「ロイター」(4月25日付)によると、動画共有アプリ「TikTok」の親会社の中国のバイトダンスは、ブラジルの再生可能エネルギー企業カーサ・ドス・ベントスと連携し、セアラ州ペセン港のZPEにデータセンター建設を計画している。

また、同措置令では、ZPEに今後立地する新規事業者が使用する電力について、再生可能エネルギー由来であることを義務付けた。さらに、当該電力は、措置令施行日より前には稼働しておらず、施行日以降に稼働した発電設備から提供される必要がある。エネルギー業界情報サイト「セナリオ・エネルジア」(7月18日付)によると、この条件は再生可能エネルギー分野の新規投資促進を目的としている(注2)。

現地紙「フォーリャ」(7月23日付)は、財務省がZPEに加え、国内向けデータセンター事業にも税恩典を付与する制度の導入を検討していると報じている。

セアラ州のZPEは2010年6月に開設され、ブラジルのZPEの中でも最も整備が進んでいると言われている。ZPEセアラでは、韓国の東国製鋼とポスコ、鉄鉱石大手バーレが出資するペセン製鉄所(CSP)が2016年6月から稼働している。なお、ZPEの恩典を享受するには、税引き前売上高(暦年ベース)の80%以上を輸出することが求められる(注3)

(注1)ZPEは、輸出向け事業者の誘致により、先進技術を取得・普及し、国内の地域間格差を緩和し、当該地域の雇用創出、社会・経済を発展させることを目的に、国内各所に設置されている。優遇措置として、ライセンス取得義務の規制が緩和されるほか、資材・サービス購入時の輸入税、工業製品税(IPI)、社会統合基金・公務員厚生年金(PIS/PASEP)、社会保険融資負担金(COFINS)などの連邦税や社会負担金の支払いが保留される。現在、国内12州の12カ所がZPEに指定されている。

(注2)鉱山エネルギー省傘下のエネルギー調査会社(EPE)によると、2024年のブラジルの電力供給構成は、再生可能エネルギーが9割弱を占めている。割合が最も高いのは水力発電で、全体の55%を占める。

(注3)ZPEセアラの詳細は、ジェトロの「ブラジルZPE セアラをめぐる投資環境PDFファイル(1.2MB)」参照。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル、中国)

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