第2四半期のCPI上昇率は前年同期比で2.1%へ低下、利下げの余地との見方も
(オーストラリア)
シドニー発
2025年08月05日
オーストラリア統計局(ABS)は7月30日、2025年第2四半期(4~6月)の消費者物価指数(CPI)が前期比で0.7%上昇したと発表した。上昇率は前期から0.2ポイント低下した。前年同期比では2.1%で、前期から0.3ポイント%低下し、2021年第1四半期(1月~3月)以来、約4年ぶりの低水準となった。また、インフレ率は4四半期連続でオーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)が掲げる目標圏内(2~3%)に収まった。
第2四半期の上昇に寄与した項目は、住宅(前期比1.2%増)、食品と非アルコール飲料(1.0%増)、医療費(1.5%増)だった。住宅分野では、電気料金が前期比8.1%増と大きく上昇した。第1四半期で連邦政府や州政府による電気料金の払い戻し策(注)が終了した州では、電気料金増加が上昇要因となった。医療費では、民間健康保険料の年次見直しにより、4月1日から保険料が引き上げられたことを受け、医療・保険サービスが2.3%増加した。一方、輸送(0.7%減)の下落が、全体の物価上昇を一部相殺した。なお、前年同期比でみると、新築住宅(0.7%増)、家賃(4.5%増)、保険料(3.9%増)が物価上昇に寄与した。年間インフレ率が鈍化した主な要因は、自動車燃料(10.0%減)の大幅な価格下落だった。
ABSの物価統計責任者のミシェル・マルクアート氏は「自動車燃料の価格は過去4四半期のうち3四半期で下落しており、12カ月前と比較して10.0%低下した」と述べた。また、過去12カ月で特に目立った価格上昇として、鳥インフルエンザの発生により供給が減少した卵(前年同期比19.1%増)、海外主要産地からのコーヒー豆の供給減少によるコーヒー・紅茶・ココア(9.4%増)を挙げた。
RBAは7月8日、政策金利を3.85%(2025年5月26日記事参照)で据え置くと発表した。インフレ率が目標圏内の中央値2.5%を、持続可能なかたちで維持できるのを確認するために、さらなる情報収集の時間が必要と判断した。オーストラリア大手のウェストパック銀行は、ABSの発表を受け、RBAにとって当期のインフレ率が目標範囲(2~3%)の下限まで低下したことから、8月会合で政策金利を引き下げる余地が生まれたとの見解を示した。
(注)西オーストラリア州では、電気料金の補助を2回に分けて支給したが、第2回が2025年3月までに終了した。
(山崎美樹)
(オーストラリア)
ビジネス短信 c49ba41907e35943