オーストラリア中銀が2025年2度目の利下げ、3.85%に
(オーストラリア)
シドニー発
2025年05月26日
オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は5月20日、政策金利を0.25ポイント引き下げて3.85%とすることを発表した。2025年に入って、2月に続き2回目の利下げで、4%を下回るのは2023年5月以来2年ぶりとなる。利下げは多くの市場関係者の予想どおりだった。
RBAのミシェル・ブロック総裁は金利引き下げ決定の背景について、インフレに関わるリスクがより均衡したと判断したためとした。インフレ率は足元ではRBAの目標圏内(2~3%)に収まっており、米国関税など国際情勢による国内経済への影響を踏まえると、上振れリスクが低下したとみる。
インフレ率は、2022年第4四半期に記録したピーク(前年同期比7.8%)から大幅に低下した。オーストラリア統計局(ABS)によると、2025年第1四半期(1~3月)の消費者物価指数(CPI)上昇率(総合インフレ率)は2四半期連続で前年同期比2.4%(注)だった。基調的なインフレを反映するトリム平均値(基調インフレ率、前年同期比)も2.9%と、2021年以来初めて3%を下回り、いずれもRBAの目標圏内に収まった。RBAは、今後もトリム平均値がRBAの目標圏内で推移すると予想した。
今後の経済見通しについては、米国の関税の影響による世界経済の不確実性をまず挙げた。最終的な米国の関税措置やそれに対する他国の政策対応による経済への影響は、依然として大きな不確実性があるとした。また国内経済においても、消費回復の遅れ、国内需要の低迷、労働市場の悪化などのリスクも残っており不確実性があるとした。
ジム・チャルマーズ財務相は、今回の発表が国民にとって非常に歓迎すべき救済策となるとし、「今回の利下げは50万オーストラリア・ドル(約4,600万円、豪ドル、1豪ドル=約92円)の住宅ローンを抱える世帯にとって、月額79豪ドル、年間で948豪ドル、2月の利下げと合わせると月額159豪ドル、年間で1,908豪ドルの節約となる」と述べた。また、「失業率が4%台前半で、かつ総合インフレ率と基調インフレ率が同時にRBAの目標圏内に収まったのは統計開始以来初めてとなる」と、RBAによるインフレ対策の成功をアピールした。
公共放送ABC(5月20日付電子版)は、現地専門家の予想として、RBAが2025年8月と11月にさらなる利下げを行い、2026年2月には政策金利は3.1%になると見込む、と報じた。
(注)ABSによると、保険や家賃などのサービス分野のインフレ率が下がったことが要因だった。
(山崎美樹)
(オーストラリア)
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