12月にも総選挙実施へ、非常事態宣言を解除
(ミャンマー)
調査部アジア大洋州課
2025年08月01日
ミャンマー国防・治安評議会は7月31日、非常事態宣言を解除すると発表した。憲法の定めにより、非常事態宣言の解除から6カ月以内に総選挙を実施する必要があり、12月にも選挙が実施される見通しだ。ミャンマー国軍は2021年2月の権力掌握以降、非常事態宣言をこれまでに7回延長していた(注)。直近では、権力掌握から約4年後の2025年2月1日に非常事態宣言をさらに6カ月延長した(2025年2月4日記事参照)。
ミャンマーでは、国軍と少数民族の武装組織や民主派の武装組織との間で戦闘が続いている。中国政府の仲介により、一部の少数民族武装組織と国軍との間では停戦の動きがみられるが、停戦の見通しが立たない地域も数多く、少数民族武装組織や民主派武装組織との戦闘は予断を許さない状況が続いている。
7月24日には米国の経済制裁が一部解除されるなど(2025年7月29日記事参照)、これまで強化する一方だった経済制裁が緩和される動きも見られた。ミャンマーに対する国際社会の対応は、以前に比べて流動化したとも考えられる。ミャンマー進出日系企業にとっては、引き続き厳しい事業運営を強いられると予想されるが、総選挙が実施される場合は、日本企業の事業環境にも変化が起こる可能性がある。
(注)憲法では、非常事態宣言について「通常、宣言期間を1回につき6カ月間2回まで延長することができる」と定めているが、2回目の延長期限が切れた2023年2月1日時点では、憲法上の通常ではない状況のため、憲法上合法として再延長していた。
(アジア大洋州課)
(ミャンマー)
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