電動車CKD部品の輸入関税減免措置、2026年末に前倒し廃止へ

(ブラジル、中国)

サンパウロ発

2025年08月05日

開発商工サービス省傘下のブラジル貿易審議会(CAMEX、注1)は7月30日、決議第774号により、電動車(バッテリー式電気自動車:BEV、プラグインハイブリッド車:PHEV、ハイブリッド車:HEV)のコンプリートノックダウン(CKD)用輸入部品に対する関税減免措置の廃止を、前倒しすることを決定した(注2)。従来の予定では、2028年6月末に減免措置を廃止し2028年7月1日から35%の関税が賦課される予定だったが、減免措置を、2026年12月末に廃止し35%関税賦課を2027年1月1日へと1年半前倒しする。(添付資料表1参照)。

現行の関税率は、BEVのCKDが10%、PHEVおよびHEVのCKDが14%。措置廃止後は35%となる(注3)。なお、完成車およびセミノックダウン(SKD)用部品に対する関税減免措置廃止の予定に変更はない(注4)。併せて、電動車のCKDおよびSKDに対し関税割当制度が導入され、枠内の輸入については関税が無税となる。適用期間は2025年8月1日から2026年1月31日まで。枠内の上限額はパワートレインにより異なる(添付資料表2参照)。

今回の決議は、ブラジルの全国自動車製造業者協会(Anfavea)および中国大手自動車メーカーBYDからの要請に対応したもの。Anfaveaは2024年9月に、電動車の輸入関税減免措置の即時廃止を求めた。BYDは2025年2月に、CKD・SKD部品の関税率を、2028年までにそれぞれ5%および10%へ引き下げるよう要請していた(2025年6月10日付地域・分析レポート参照)。現地紙「エスタード」(7月31日付)によると、今回の対応は両者の要請を踏まえたもの。Anfaveaからの要望に対しては、減免措置を前倒して廃止することとした。BYDからの要望に対しては、割当制度の導入により妥協を図った格好だ。Anfaveaのイゴール・カルベ会長は、同協会のユーチューブ公式チャンネル(7月30日付)で「連邦政府に感謝する。責任ある、予測可能性のある決定だった」と評価した。BYDは現時点でコメントを発表していない。

(注1)CAMEXは、ブラジル国内の関税率を決定する権限を有する。

(注2)この度の措置に該当するパワートレイン別NCM(メルコスール共通関税番号)は、HEVが8703.40.00、PHEVは8703.60.00、BEVは8703.80.00。

(注3)なお、BEVのCKDについては、従来どおり2026年7月1日以降、関税率が14%に引き上げられる。

(注4)完成車およびSKD用部品の関税率は、現行でBEVが25%、PHEVが28%、HEVが30%。2026年7月1日以降、いずれも35%となる予定(2023年12月5日記事参照)。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル、中国)

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