米ミシガン州知事がトランプ大統領と会談、関税は州の自動車産業や農業に悪影響と懸念

(米国)

シカゴ発

2025年08月08日

米国ミシガン州のグレッチェン・ウィットマー知事(民主党)は8月5日、ドナルド・トランプ大統領との非公式の会談で、関税が州の自動車産業に与える影響、3月に同州を襲ったアイスストーム(氷雨を伴う暴風)からの復興、連邦政府の予算削減による州のメディケイド(低所得者層向けの公的医療保険)予算の不足などについて協議した(デトロイトニュース8月5日)。

特に同州の主要産業である自動車産業について、ウィットマー知事は、米国がカナダとメキシコに課す関税の影響を受けやすいと懸念を表明し、ミシガン州での雇用創出を支援するようトランプ大統領に要請した、と伝えられている(ブルームバーグ8月5日)。

ウィットマー知事は、トランプ大統領との会談に先立ち、7月31日に州の各種機関に対して、関税が州経済に与える最新の影響を調査し、報告するよう求める行政命令に署名外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同州は、この発表の中で、関税措置がコスト上昇とサプライチェーンの弱体化を引き起こすと説明する。米国自動車企業ビッグ3のステランティスやゼネラルモーターズ(GM)は多額の損失につながるとし、フォードは関税による損失を20億ドルと予想する。農業においては、飼料原料、肥料などをカナダやメキシコとの自由貿易に依存しており、全米大豆協会は、中国との貿易戦争でミシガン州の農家は毎年約1億ドルの損失を被るとしている。

なお、米政府による自動車関連の関税措置をめぐっては、コスト増による利益の減少やサプライチェーンの混乱に対する懸念などから、これまでも自動車業界団体から批判が出ている(2025年7月25日記事参照)。フォードのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)は、7月30日にブルームバーグTVインタビューの中で、米国政府が日本に対する相互関税を25%から15%に引き下げたことについて「米国と日本の関税合意は、トヨタのような競合他社にコスト優位性を与えている」と批判している。

(星野香織)

(米国)

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