中国、カナダ産品に対する複数のアンチダンピング措置・調査を発表
(中国、カナダ)
北京発
2025年08月15日
中国商務部は8月12日、カナダ産の輸入品に対して、複数のアンチダンピング(AD)措置および調査を実施すると発表した。商務部による同日の発表内容は次のとおり。
(1)カナダ産の菜種に対するAD措置
商務部公告2025年第40号で、カナダ産の菜種の輸入に対し、ダンピングの存在を認定する初歩的な裁定をした上で、AD措置を暫定的に実施すると発表した。8月14日からカナダ産菜種の輸入に当たっては、一律75.8%の保証金を徴収するとしている(注1)。
(2)カナダ産のハロゲン化ブチルゴムに対するAD措置
商務部公告2025年第39号で、カナダ産のハロゲン化ブチルゴムの輸入に対し、ダンピングの存在を認定する初歩的な裁定をした上で、AD措置を暫定的に実施すると発表した。8月14日からカナダ産の一部のハロゲン化ブチルゴムの輸入に当たっては、対象企業ごとのダンピングマージンに応じて26.2~40.5%の保証金が徴収される(注2)。なお、日本産の一部のハロゲン化ブチルゴムも同様にAD措置の対象となっており、輸入に当たっては対象企業ごとのダンピングマージンに応じて13.8~30.1%の保証金が徴収される。
(3)カナダ産のエンドウ豆でんぷんに対するAD調査
商務部公告2025年第41号で、カナダ産のエンドウ豆でんぷんの輸入に対し、AD調査開始を決定した。調査は即日開始し、2026年8月12日までに終了する予定だ(注3)。ダンピング調査対象期間は2024年1月1日から12月31日、国内産業の損害調査対象期間は2021年1月1日から2024年12月31日としている。
また、商務部は8月12日の報道官談話で、各貿易措置について次のとおり説明した。
菜種とハロゲン化ブチルゴムに対するAD措置については、公平、公正、公開、透明の原則の下、中国の関連法令とWTO関連ルールに基づいて調査を行ったと述べた。
エンドウ豆でんぷんに対するAD調査については、中国企業による申請を受け、法に基づいて申請内容の審査を行い、申請が調査を開始する要件を満たすと判断した上で、調査開始を決定したと説明した。また、同調査は法に基づいて実施し、調査結果に基づいて客観的かつ公平な判断をするとした。さらに、同調査は、WTOルールに沿った国内産業保護のための正当な貿易措置で、カナダがWTOルールに反して中国に対して実施している差別的措置とは本質的に異なると強調した(注4)。
(注1)商務部は2024年9月9日、商務部公告2024年第37号で、カナダ産の菜種に対し、AD調査開始を決定した。
(注2)商務部は2024年9月14日、商務部公告2024年第38号で、カナダ産のハロゲン化ブチルゴムに対し、AD調査開始を決定した。
(注3)特殊な状況となった場合は、さらに6カ月の延長を可能としている。
(注4)カナダ政府はEV、鉄鋼、アルミニウム製品など複数の中国産品に対して、追加関税を賦課している(2024年8月30日記事参照)。
(蔣春霞)
(中国、カナダ)
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