韓米首脳会談が開催、南北問題や経済分野での協力を進展
(韓国、米国)
ソウル発
2025年08月27日
韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は8月25日(現地時間)、米国首都ワシントンのホワイトハウス・オーバルオフィスにおいて米国のドナルド・トランプ大統領と、対面としては初めての韓米首脳会談を行った。韓国大統領室は、首脳会談の内容について次のように発表した。
〇両大統領が冒頭発言を行い、両国の取材陣に向けた簡易な記者会見の後、拡大首脳会談を行った。その後の昼食を伴う非公開会談には、両大統領と両国の要人が同席した。
〇南北関係について、李大統領は「世界で唯一の分断国家として残されている朝鮮半島にも平和を築いてほしい」「金正恩(キム・ジョンウン、朝鮮労働党総書記)とも会ってほしい」と要請した。また、「(トランプ)大統領がピースメイカー(Peace Maker)を務めていただければ、私(李大統領)はペースメイカー(Pace Maker)として全力で支援する」と述べた。これに対して、トランプ大統領は「私たちは北朝鮮について大きな進展を共に実現できると信じている」と応じた。
〇両大統領は、造船業を中心とした経済協力の強化について合意した。トランプ大統領は「今後、韓国の造船業との協力を通じ、米国で船舶が再び建造されることを望む」と述べた。これに対し、李大統領は「米国は再び偉大な国に変わってきているようだ。造船分野だけでなく、製造業分野でもルネサンスが実現している。その過程で韓国も参加できることを期待する」と答えた。さらに、李大統領は「堅固な韓米同盟を基盤に韓国が成長・発展してきたように、今後もこの韓米同盟を軍事分野だけでなく経済分野、科学技術分野まで拡大し、未来型として発展させていきたい」と付け加えた。
〇李大統領は韓米日協力について、「極めて重要な課題であり、韓米関係の発展のためには韓日関係も改善する必要がある」「(トランプ)大統領が韓米日協力を非常に重視されているため、私が事前に日本を訪問し、懸念される問題をすべて整理した」と述べた。それに対して、トランプ大統領は「日本は韓国との関係改善を積極的に望んでいる。対北朝鮮政策においても韓国と日本の利害関係は一致している」と応じた。
〇李大統領は、「トランプ大統領を今秋開催されるAPEC首脳会議に招待し、可能であれば北朝鮮の金総書記との会談も進めたい」と提案した。これに対し、トランプ大統領は「非常に賢明な提案だ」と評価した。
同会談について聯合ニュース(8月26日付)は、「この首脳会談により、李大統領が強調してきた国益中心の実用外交も、目標を超え、実質的な成果を上げる契機を築いた」と評価した。一方で、関税に関する後続交渉の詳細(2025年8月5日記事参照)や安全保障分野の交渉(注)などが同会談の議題として上がらなかったことを踏まえ、「首脳会談後も韓米両国の外交・通商実務当局者間では、国益を守るための激しい駆け引きが続く見通しだ」と今後の課題も提起した。
同会談後には、「韓米ビジネスラウンドテーブル - 製造業ルネサンスパートナーシップ」が開催され、李大統領も出席した。ここには両国の政府代表者に加え、韓国側からは、サムスングループやSKグループ、現代自動車グループ、LGグループなど主要企業グループのトップなど、米国との協力関係にある16人の企業人が参加した。米国側からは、エヌビディア、ボーイング、アプライド・マテリアルのトップなど、21人の企業人が参加した。同ラウンドテーブルにおいては、韓米製造業のルネサンスパートナーシップ強化に向けた契約および了解覚書(MOU)締結行事が開催され、造船、原子力、航空、液化天然ガス(LNG)、重要鉱物分野で計11件の契約・MOUが締結された。
(注)韓国では、在韓米軍駐留費分担金の増額や在韓米軍の役割拡大などを要求してくることが懸念されていた。
(橋爪直輝)
(韓国、米国)
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