南ア政府、米国の30%相互関税への対応を発表

(南アフリカ共和国、米国)

ヨハネスブルク発

2025年08月18日

南アフリカ共和国政府は8月12日、米国の30%関税への対応に関する声明文を発表した。その中で、南ア製品の米国市場への輸出を維持するため、米国政府に対し南アからの提案を出す、と貿易産業競争省と農業省が共同で表明した。

当初から南ア政府は、米国政府との貿易協定交渉を継続する方針を示していた(2025年8月4日記事参照)。8月7日に発効した米国市場向けの輸出に対する30%の関税を引き下げるため、声明の中で「内閣は、南アが米国との交渉の基盤として改定案を提出することを承認した。新しい提案は、2025年5月に提出したものより前の提案を基に作成された。その提案は、米国が2025年の国家貿易推定報告書で提起した問題に対して実質的な回答を示したもの」と述べている。

南アに対する30%関税は、サブサハラアフリカ諸国からの商品に課せられる関税としては最高率だ。自動車、化学製品、柑橘(かんきつ)類、ナッツ、ブドウ、ワインなど、南アの米国向け輸出品は、より高い関税が課せられることになり、米国市場での競争力が低下する。

この関税対策として、南アは輸出市場の多様化に向けた取り組みを加速しようとしている。アフリカ諸国と欧州の市場の深掘りとともに、アジアおよび中東地域で市場開拓も目指している。「われわれは、日本、ベトナム、タイを含むアジア、中東、インドに注目している。これらの市場を追求する理由は成長市場であること、すでに関係が構築されていること、南ア製品への前向きな反応があることなどだ」と声明は述べている。

さらに、政府は、鉄鋼、ガラス、補助金を得ている農産物、太陽光発電設備、自動車など一部の製品については、世界全体での供給過剰による輸入急増やダンピングから国内産業を保護する措置を講じることを約束した。

(トラスト・ムブトゥンガイ)

(南アフリカ共和国、米国)

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