マレーシア政府、2026年国家予算公聴会を開催、国民中心の施策を強調
(マレーシア)
クアラルンプール発
2025年08月14日
マレーシア財務省は8月7日、プトラジャヤの同省庁舎で2026年の国家予算編成にかかる公聴会を開催した。開会式では、アミル・ハムザ・アジザン第2財務相が登壇し、予算案について、国民の意見を積極的に取り入れ、国民を中心とした内容で策定する方針であることを強調した。
アミル氏は、予算案が「上限の引き上げ(Raising the ceiling)」「下限の引き上げ(Raising the floor)」「ガバナンスの強化」の3つの施策を中心に、第13次マレーシア計画(13MP)の目標に沿って策定される予定だと述べた(2025年8月12日記事参照)。
「上限の引き上げ」では、半導体、エネルギー移行、イスラム経済といった高付加価値産業への支援を強化するほか、中小企業や国産品の振興、さらにデジタル化と人工知能(AI)技術の推進を通じて、国の競争力を高める方針が打ち出された。
「下限の引き上げ」では、教育および医療制度の強化、社会保障の拡充、そして生活費高騰への対応に重点的に取り組み、国民が安心して暮らせる社会の実現を目指す。
最後に、「ガバナンスの向上」では、ビジネス手続きの簡素化や公共サービスの質の向上を通じて、行政の効率性と透明性を高める、信頼ある持続可能な行政運営を行うとした。アンワル・イブラヒム首相兼財務相は、こうした施策がマダニ経済政策の中核方針であり、包摂的かつ均衡の取れた国家発展を目指す政府の姿勢を反映していると説明した。
公聴会には、公的機関、業界団体、商工会議所、非政府組織(NGO)、国際機関などから約300人が参加した。各代表者は、政府に対して懸念事項や要望を投げかけた。中でもマレーシア製造業連盟(FMM)は、中小企業の能力向上および国際認証取得支援に向けたインセンティブ拡充を政府に要望した。多国籍企業が地場企業との連携に消極的な理由として、(1)価格の高さ、(2)品質の不安定さ、(3)需要への対応力不足の3点を挙げ、これらの課題解決に向けた政府による支援の必要性を訴えた。
そのほかにも、ESG(環境・社会・ガバナンス)対応に向けた産業への支援、不動産業界に対する売上・サービス税(SST)の再検討、手頃な価格の住宅供給、特別支援教育の充実、社会福祉士の人材育成、若手医師の雇用創出と待機手当の拡充など、さまざまな分野で予算案への編成を望む声が上がった。
なお、財務省は国民から予算案に対する意見を聴取するため、専用ウェブサイトを開設しており、10月3日まで提案を提出できる。同予算案は、10月10日に発表される予定だ。
公聴会で説明するアンワル首相(中央)(ジェトロ撮影)
(戴可炘)
(マレーシア)
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