米国、対トルコ相互関税率を15%に決定、トルコの反応

(トルコ、米国)

イスタンブール発

2025年08月06日

米国のドナルド・トランプ大統領は7月31日、4月に発表した相互関税を修正する大統領令を発表し、対トルコ税率は4月の発表値から5ポイント引き上げ、15%となった(2025年4月9日記事8月1日記事参照)。

トルコ貿易省は、トルコは引き続き低い税率が適用される国の1つで、アジアや南米の国々と比べて圧倒的に優位にあると、前向きな反応を示した。同省はこの理由として、トルコが米国にとってバランスの取れた貿易相手国であることを挙げた。一方、鉄鋼や自動車、銅などの関税については、現在も両国間で協議を行っており、繊維、既製服分野を中心に協議を続けると発表している。トルコ輸出業者協議会(TIM)の発表によると、2024年の米国向け輸出の約13%が「化学物質および製品」、約10%が「自動車・同部品」、次いで「既製服」「じゅうたん」となっているが、「繊維および原材料」を合わせると、繊維製品全体で約18%と大きな割合を占める(添付資料図参照)。

8月1日付のBBCトルコの報道によると、専門家の中には、貿易省と同様、トルコが関税率の高い国と比べて優位とする見方もある。一方、高い追加関税が適用される米国向け輸出の約15%を占める「自動車・同部品」と「鉄鋼」だけでなく、医薬品やトルコの一大産業に成長した防衛産業などについても、交渉の可能性を指摘する声もある。また、ロシア製品の輸入国に対する米国の2次関税の可能性もある。国際貿易センター(ITC)の統計によると、トルコはエネルギー資源をロシアから輸入するなど、2024年のロシアの輸出相手国で3位に位置していることから、影響を懸念する声もある。一方、「今回の措置によってトルコの欧米離れが進み、中国、イラン、ロシアに傾注する可能性がある」とする見解もあり、周辺国とのトルコの戦略的な位置づけから、米国はトルコに配慮するだろうとの楽観的な見方もある。

(井口南)

(トルコ、米国)

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