IMF理事会、アルゼンチンへの拡大信用供与措置の初回レビュー承認

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2025年08月08日

IMF理事会は7月31日、48カ月間のアルゼンチンに対する拡大信用供与措置(EFF)の初回レビューの結果を承認したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。EFFの初回レビューは7月25日にスタッフレベルで合意に達し、IMF理事会の承認を待っていた(2025年7月29日記事参照)。これにより、アルゼンチンは約20億ドルの追加融資を受けることが可能になった。IMFはミレイ政権の経済安定化の取り組みを高く評価した。

IMFは、政府が財政赤字ゼロを堅持していることを高く評価した。また、これが為替バンド制への円滑な移行と為替レートの安定、公式為替レートと並行為替レート(いわゆるブルーレート)の乖離幅の消滅、資本取引規制の緩和、インフレの低下を支えていると評価した。また、経済活動の堅調な推移が貧困率の低下につながっていると分析した。特にミレイ政権が5月に現地通貨ペソ建て国債の発行を通じて、外国投資家から資金を調達したこと、つまり、国際資本市場にIMFの想定よりも早く復帰したことを評価した。

今後については、次のとおり述べている。まず、金融・為替政策では、4月に導入した為替バンド内での為替レート変動を許容し、為替市場での外貨購入を通じて外貨準備高を蓄積することや、市場からペソを吸収する緊縮的な金融政策を継続することで、インフレの抑制を支えること、中期的な金融・為替制度の明確化が重要とした。

財政政策では、財政収支黒字の堅持が財政基盤の維持に不可欠で、政府が野心的な取り組みを続けることや、税制改革の迅速な実施が競争力強化には不可欠とした。税制改革は、輸出税や金融取引税などの租税の段階的排除、付加価値税の控除の仕組みの簡素化、燃料など特定品目に課税される物品税の税体系の簡素化などを行うことがIMFへの意向書(LOI)の中で明らかにされている(注1)。

LOIではまた、資金調達は、2025年内に58億ドルに達するとみられるIMF以外の国際機関による支援だけでなく、今後もペソ建て債券市場への外国投資家の参入によって資金を調達するほか、公的債務の改善にも力を入れると記載している。

構造改革では、労働を含む国内市場への参入障壁の撤廃を続けること。投資拡大に向けた大型投資奨励制度(RIGI)を公平に運用しつつ、ガスパイプラインなどを優先する公共インフラの早期完工、優れた官民連携(PPP)スキームの導入による輸送インフラのコンセッションを推進する。

IMFとアルゼンチン政府は今回の支援プログラムについて、定量的指標と構造的ベンチマークの2つの目標を設定している。なお、大半の目標は達成したが、純外貨準備高の積み増しと純国内資産の削減は達成できなかった(添付資料表1、表2参照、注2)。そこで、これら2つの定量的指標はレビューの結果を踏まえて見直し、純外貨準備高の年末までの積み増し目標は50億ドル下方修正した。目標の達成に向けた今後の政府の取り組みが期待される。

(注1)LOIは、融資を受ける側の国がIMFの融資プログラムを施行させるためにどのような政策を実施すべきか、具体的な目標やスケジュールなどを記載するもの。

(注2)純国内資産を削減する背景としては、アルゼンチン中央銀行の国内資産には、過去に連邦政府に財政ファイナンスをするために引き受けた譲渡不可能証券といった比較的低品質の資産が多く占めているため、中銀のバランスシートを健全にして、現地通貨ペソへの信用を取り戻すこと、また、通貨供給量を抑えてインフレも抑制するなどの狙いがある。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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