インド外相がプーチン大統領と会談、商工省はロシア含むEAEUとFTA交渉枠組みに署名
(インド、ロシア、米国)
調査部アジア大洋州課
2025年08月26日
インドのスブラマンヤム・ジャイシャンカール外相は8月21日、ロシアの首都モスクワで、ウラジーミル・プーチン大統領と会談した。インド外務省の発表によると、インドのナレンドラ・モディ首相の親書が渡されたほか、共通のグローバル課題を含む2国間の主要課題が議論された。
また、同日にはセルゲイ・ラブロフ外相との会談も行われた。ポイントは次のとおり。
- 貿易や経済分野などでの2国間関係の包括的な見直し
- 防衛・軍事関連の技術協力
- ロシア中部のカザンとエカテリンブルクでのインド領事館新設
- 世界的な統治の改革やG20、BRICS、上海協力機構(SCO)などでの協力
プーチン大統領(左)と握手するジャイシャンカール外相(ロシア政府発表資料より)
これらの会談に先立つかたちで、インド商工省は8月20日、ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、アルメニア、キルギスが加盟するユーラシア経済連合(EAEU)とインド間の自由貿易協定(FTA)交渉に向けた付託条項(TOR)に署名したと発表した。
年間522億3,000万ドル(2024年、Global Trade Atlasから算出)の原油をロシアから輸入しているインドは、これを理由に米国から合計50%の相互関税が賦課される予定だ。インド政府は米国の相互関税上乗せに強く反発を示しており、ロシアからの原油輸入は継続する方針を示唆している(2025年8月8日記事参照)。自立性の確保を重視し、自国利益最大化のために全方位外交を展開するインドは、ロシアとのさらなる関係強化を通じて、米国関税政策による影響を最小限にとどめたい考えだ。
(深津佑野)
(インド、ロシア、米国)
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