英半導体設計アーム、ASEM・20大学と連携協定締結、1万人の人材育成へ

(マレーシア)

クアラルンプール発

2025年08月05日

英国半導体設計大手のアーム・ホールディングスは7月28日から30日にかけて、マレーシア先端半導体アカデミー(Advanced Semiconductor Academy of Malaysia、ASEM)(注1)と連携し、学生から現役エンジニアまで幅広い層を対象に、マレーシア初となるアームオンデマンド(Arm On Demand)研修プログラム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開催した。この取り組みは、2025年3月に発表されたマレーシア政府と同社との戦略的提携(2025年3月10日記事参照)に基づき、半導体設計能力の強化と産業人材の育成を目的として実施された。年間1,000人を育成する計画で、登録者数は既に400人に上る。

開会式には、アミルディン・シャリ・スランゴール州首相、リュー・チントン投資貿易産業(MITI)副大臣、マレーシア・モナシュの大学代表らが出席した。また、来賓の臨席のもと、アーム、ASEM、ならびにマレーシア国内20大学との間で、連携協定の署名式が執り行われた。

アミルディン州首相は、今回の連携により、半導体の設計・製造・組立分野で1万人(注2)のマレーシア人エンジニアが育成されることに期待を示した。さらに、外国直接投資への依存から脱却し、将来的には海外への投資や輸出を担う企業やスタートアップの創出につながることを見込んでいると述べた。また、チップが「スランゴール州で組み立てられた」ではなく、「スランゴール州で設計された」「マレーシア国産」と誇れるよう、知的財産の確保を目指すべきだと強調した。同プログラムは7月28日から30日までの3日間、マレーシア・モナシュ大学で開催された。このプログラムは、アームの熟練エンジニア100人以上が携わり設計されたもので、次のような幅広い分野を対象としている。

  • アームアーキテクチャ
  • 中央演算処理装置(CPU)・ニューラル処理装置(NPU)のハードウェア/ソフトウエア
  • システムIP・AMBAプロトコル
  • アームコアサイト・デバッグ技術
  • アーム関連ソフトウエア・開発ツール

3日間の研修終了後も、参加者は、各種デジタル端末からトレーニングプログラムにアクセスでき、コメントや質問機能を使った双方向の学習が可能だ。

写真 アーム、ASEM、ならびにマレーシア国内の大学との連携協定署名式(ジェトロ撮影)

アーム、ASEM、ならびにマレーシア国内の大学との連携協定署名式(ジェトロ撮影)

(注1)ASEMは、スランゴール州政府などが設立した機関。同州のIC設計パークには、アームも当初から入居している(2024年5月1日記事参照)。

(注2)10年間で1万人を育成する計画。

(戴可炘)

(マレーシア)

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